ぱんだまん

行きのバスで流れているのはbayfm、帰りはNACK5。程よい田舎、草加にある憧れのサウナ。

第一印象はとにかく温度が高いこと。常に熱波を浴びているような感覚で、じっとテレビを見てもいられない。
一方の水風呂は冷た〜い。バイブラが羽衣を絶え間なく破壊してくる。

田舎の空は青い。外気も最高なんですが、それで終わらないのが草加。
本格薬草風呂と高濃度炭酸泉は最早、療養です。さすが健康センター。体がぽかぽかして、肩こり、腰痛、そしてストレスが和らいでいく。

辛くなったらまた来ます！

海だッーー！
眼前に一面の太平洋が広がる。水平線、久々に見たなぁ。波、高いなぁ。

こんな景色。都内じゃ考えられない。サウナと海を何度も行き来する。雄大な自然に懐かれて、ととのう。

震災から10年。原発事故の帰宅困難区域がほど近い楢葉町にも、ととのえる場所があった。

天然温泉とキンキンの水風呂、肝心のサウナも熱々だが、それだけではない。

テレビで流れていたのは、津波で母親を亡くした少女を追ったドキュメンタリー。成人を迎え、かつての自宅跡を訪ねる。母に宛てた手紙を読む声がどうしても震える。

「私を産んで、育ててくれてありがとう」

涙が出てきて、身体以上に心がグッと熱くなる。

辛いことはある。
時間が癒してくれないこともある。
だからこそ、時々ととのえながら、生きていこう。
新しい10年が始まる。

サウナは熱く、水風呂は冷たい。
これが如何に貴重なことか、サウナーの皆さんならごよく存知だろう。温度にはムラが出るからだ。熱いところと温いところがでるのが宿命だった。

その点、金春湯は凄い。
全身熱い。そして全身冷たい。
温度計が嘘をつかない。

しかもリーズナブル。銭湯サウナいいですね！

初めて行くサウナは、たいてい驚きと感動がある。
では、二度目はどうか？

この水、知っているぞ。天然水だろう。柔らかく包まれる。分かってる。

順調にととのう。ここまでも想像通り。
慣れって怖い。

ドキドキもなくサウナに入る。テレビではしくじり先生をやっている。攻めすぎた戦隊モノ特集。おもしろい。

あれ……
ゆったりテレビを見たのいつぶりだろう？

休憩室もそう。祖父母の家のように寛ぐ。こんな場所、他にはない。

しきじは行く場所ではない。帰る場所になったんだ。

京王線沿い、首都高の高架下を調布に向かう。『花束みたいな恋をした』の舞台だ。こっちは菅田将暉じゃなくてサ田将暉ですけど。

憧れの天空のアジト。10階だけあって、東京を一望できる。
朝日差し込むセルフロウリュサウナと、電車の音が心地よく響く外気浴。いい休日のスタートです。

ただ、サウナーで混雑しすぎるのが気になった。静かにひとり、ととのいたいときはマルシンは向かないのかもしれない。

映画では失恋した山音麦くんも、その後、サウナにハマってそう。八谷絹さんも有村サ純に進化してそう。

駒込の空は広い。湧き出るバイブラは気持ちいい。ロスコのサウナは熱い。　

森喜朗の後継は、橋本聖子かーなんて、思いながら。

仕事の合間にやってきた。寝不足だから、横になれるサウナがありがたい。目を閉じて、気づけば10分くらい経っている。ふらふら。ぬるめの水風呂へ。ぶくぶく。

そして名物の露天へ。まだまだ空気は冷たい。毎日来ようとは思わないけど、この開放感をたまには味わいたくなる。仕事からの解放感なのかも？

うわぁ頑張ろう

日経平均が三万円を超えた。
決算が…売却が… サラリーマンたちの呟きが漏れる赤坂。仕事おわり。

大変混雑するサウナ。それにしても混みすぎではないだろうか。

その理由──
11℃の水風呂にある。

キンッキンッ。でも痛くない。寒くない。ちょうどいい気持ちよさ。

困ったな。混んでるのにまた来ちゃうじゃん