【閉店】天然温泉 天神ゆの華
温浴施設 - 福岡県 福岡市
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最後は1階の日がいい。
閉店を知った日から、そう考えていた。
天神ゆの華に行くのは、今日が最後になる。
隣のざうおは、一度だけ気の知れた上司と訪れたことがある。
大きな水槽があり、店内で釣った魚を食べることができたことなんて無かったことのように、床が剥き出しになっていた。
天神ゆの華の入口には、湯口があり、これまで岩場を濡らしていたが、湯は止まっていて、終わりが近いことを知らせているようだ。
一人侘しさ感じながら入店すると、その気持ちとは反対に、店内は多くのお客さんで賑わっていた。
今日はタオルを忘れたので、仕方なくタオルのレンタルセットを買った。中身はバスタオルと、天神ゆの華と鮮やかなオレンジで書かれたあの薄いタオルであった。
フェイスタオルも返却しなければならないものが貸し出されると予想していたから、嬉しい誤算である。数日後には、二度と買えないタオルになってしまうから、思い出に取っておくことにしよう。
食堂の前にあるメッセージボードに、先日書いた自分のカードが貼られていることを確認する。
カードは客が書いた後に店側で内容を確認するとのことだったので、自分の書いたカードが貼られていて嬉しかった。
赤い暖簾をくぐり、脱衣所へ向かう。浴場に入り、体を清めた。
サウナマット交換の時間が迫っていたため、湯船には浸からず、サウナ室へ直行した。
サウナ室の外には誰もいなかったが、満席かもしれないので、恐る恐る扉を開ける。
幸い、一番奥の上段が一つだけ空いていた。
サウナストーブの向かい側であり、テレビは観ることができない。
テレビに夢中になりすぎず、サウナ室の熱さに集中することができた。
十分に温まったので、サウナ室を出て水風呂へ向かう。今日の水風呂はほんのりと白く濁っていた。
しっかり体を冷やした後は、露天の畳に横になる。
最後の日が分かっているというのはいいものだ。覚悟もそれなりにできるし、お別れを告げることができる。
これまでの人生を振り返ってみるに、「ああ、あの日が最後だったのか」と、後になって分かることのほうが多い。そして、後悔をすることがある。
早かった鼓動は落ち着き、ぼんやり天神の空を見上げて、「また来たい」と自然に考えてしまった。
最後が分かっていても、排水溝が抜かれ、水が一滴も無くなり、灯りが消えるその日まで、最後ということを本当の意味で理解できないのかもしれない。
仕事が辛い時も、この場所に救われてきた。
天神にある温浴施設がゆの華でよかった。
今まで本当にありがとうございました。
読んでてじんわりくるサ活でした。やっぱりホームの最終日はつらいですね😢
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