湯煙漱石の「蒸されて候」

2025.02.11

1回目の訪問

吾輩はサウナに来たのである。されど、これほどの体験は未だ嘗てなかった。

まず駐車場に車を停め、受付へと足を運ぶ。ここは事前予約制とあり、名を告げ、日帰りの料金を支払う。その後、別室に通され、同意書に署名する。ここに至るまでは何の変哲もないが、ポンチョとスリッパを借り受けるあたり、既に一筋縄ではいかぬ予感がする。

浴場にて水着に着替え、ポンチョを羽織り、スリッパを履く。さて、いよいよサウナへ。ここの妙味は熱波にあり。一人十回まで受けられるとのこと。室内は既にロウリュの蒸気に満たされ、空気が肌を刺すようである。それを耐え、熱波を浴びるほどに、ただの温熱ではない、ある種の陶酔が訪れる。

ここからが本番である。湖へ向かう。一歩踏み入れると、冷水が足をかじかませる。初回は二十秒ほどで脱したが、二度目、三度目と進むにつれ、奇妙なことに慣れていく。足から飛び込み、頭まで沈めると、整い方がまるで違う。身体がふわりと宙に浮くかの如き心持ちである。思えば、これはもう修行の域に達している。

それにしても、この水温である。当日の湖は摂氏零度を下回る。「それはもう凍っているのではないか」と思わぬでもないが、いざ入ると、まず心地よい冷たさに包まれる。しかし、それは束の間の安息に過ぎず、次の瞬間には全身を痺れが襲う。耐えられるのはわずか一分、だがこの一分が永遠のように長く感じられる。

上がればスタッフがタオルを掛けてくれる。そのまま回転する氷の上へ。気温は氷点下であるにもかかわらず、寒さは感じない。それどころか、全身に広がるあまみを目の当たりにし、驚嘆するばかりである。人生においてこれほどまでに整った瞬間があったろうか。

最後に、桶で湯に浸かる。これがまた、静かなる愉悦をもたらす。熱と冷、動と静、その交わるところに、かくも甘美なる境地があるとは——吾輩、また訪れずにはおられぬのである。

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  • サウナ温度 100℃
  • 水風呂温度 0℃
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