渋谷SAUNAS
温浴施設 - 東京都 渋谷区
温浴施設 - 東京都 渋谷区
「もうこれで、終わってもいい」
それはまだ世の酸いも甘いも噛み分けもしなかった頃、ゴンがカイトの死に何故そこまで自暴自棄に駆られたのか、おれは分からなかった。ただ、ゴンの精神的な未熟さからなる状態であると安直に考えていた。
それは与えられた形の濃度が関係していた。
渋谷SAUNASが出来ると知った後から、ずっと考えていた。
サウナという一種の流行に、そしてその流行の先駆けであるタナカカツキ先生理想のサウナ、その最高にほだされたエセの出現に、最高の空間に対し嫌悪感を抱きたくなかった。
おしゃべり、かけず、びしょびしょ脱衣所。
マナーは、たかがマナーである。
踏ん切りがつき、予約をする頃には、それはもう“諦めよう”と思っていた。
予約時刻に迫っている中、区切りをつけようと思えばつけられた仕事も、なんとなくそっちを優先していた。
足取りはウキウキ、よりもドキドキ。おれにサウナの良さを教えてくれた恩師に、どんな顔をしていれば良いのか迷っていた。
受付。とても優しいミトさんのような女性。
出来立てのSAUNASは現代人にとってお洒落な空間そのものだった。
「脱衣所が狭い」というレビューを見かけたことがあるが、何に重きを置くか、だ。全てを求めるな。
さてここには5種類(確認できたものは)のサウナがあった。どれも草食系サウナでじりじりと芯から温まる温度と湿度に、精孔がガバガバになる。
そこに現れるピトー(に映るほどおれはおしゃべりをするサウナ〜に偏見をもっていた)
“なんでカイトを殺した”
怒り狂う自分は念を制御できるはずもなく本日一発目の
「もうこれで終わってもいい」(満足のいくエンドルフィン体験が)
21:30のアウフグース。
スター諸星氏によるヴィヒタ推し推しのアウフグースは、自分にとってのキルアとアルカとナニカそのものでした。
憑きものは、完全に削ぎ落とされた。
この空間を作ったタナカカツキ先生。貴方様は偉大です。それはゴンがまだハンターたるものを、実父であるジンを、知らなかった頃、身近で偉大な尊敬できるカイトにだからこそ、色濃い憧憬を抱いたのだと分かりました。
大切なのは念(集中)でなく、自分自身を見つけ直すことであると改めて気づかされた。
「もうこれで終わってもいい」
やっぱり静かに集中したい。それは間違いないけれど、最高の空間を、最高の体験を、まごうことなく最高であると、豪語できる人生を歩みたい、そんな風に勇気づけてくれる場所、それが渋谷SAUNASであると私は伝えたい。
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