ウェルビー今池
カプセルホテル - 愛知県 名古屋市
カプセルホテル - 愛知県 名古屋市
②
最後にやってきたコタニ君のロウリュ。コタニ君については前々から此処彼処で噂を聞いており、私もつい期待に胸を膨らませていた。
一番最初にサウナ室に入り、1番アチアチ熱波が浴びられる場所はどこかと、何度か座り直しながら模索していると、もう時計の短針は10を指そうとしていた。
やっと見つけた特等席で、あぐらをかき、目を瞑り、全身の神経を研ぎ澄ませる。
あっという間に始まった、コタニ君のロウリュ。アロマはミントとレモンのミックス。
あらかじめ覚悟は出来ていたものの、コタニ君のロウリュは圧巻。想像を絶するものだった。
もはや暴力的なレベルでたった1枚のタオルから出されているとは思えない熱波が私の全身を虐める。その時、私にはそのたった1枚のタオルが兵器のように思えた。
この世に存在する言葉では形容しがたい、惨い風(もちろんこんな言葉で表現できるほどの風ではないのだが)が私の身体の穴という穴に突き刺さり、私の全身は涙を流している。
ここで素晴らしいのは、ただ強く熱い風ではなく、なぜか気持ちよさを感じさせてしまう不思議な風であることである。
熱血教師のような鬼の血相で浴びせる風と、その風の爽やかなレモンやミントの香りがうまく調合され、私をサウナの迷宮のさらに奥深くへ誘い込む。
過去一と言えるほどの整いを終えたあとは、心が晴れやかで、世界が鮮やかに見えた。
こんな出会いをするきっかけを作ってくれた母親には、久しぶりになにか親孝行をしてやろうと思う。
見た目で判断する限り、ヤマダ君とコタニ君は学生のようだ。まだ彼らほどの年齢だった頃、私はぼーっと生きており、道端の雑草のような人間だった。彼らのような人間に今後の日本をより良い方向に変えていって欲しいと切に願う。またいつか彼らのロウリュを楽しめる日が来ることを心待ちにしている。
サウナ:11分
水風呂:1分30秒
休憩:12分
×3セット
男
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