深大寺天然温泉「湯守の里」
温浴施設 - 東京都 調布市
温浴施設 - 東京都 調布市
受け付けを済ませて脱衣所へ向かうと、途中にある茶々のゲージが開いていた。茶々とはうさぎのことである。
今日は開放日らしい。
近寄ると茶々も近付いてきて私の荷物に頭をつっこんできた。
その可愛さに、私はたまらず手を伸ばし、頭をひと撫でする。すると、茶々は前足を揃えて座り直し、うさぎ独特の撫でてポーズをとった。
そう。今日はそういう気分なのね。
私は茶々の気持ちを察知し、しばしの間、茶々と話をしながらスキンシップを取ることにした。
それにしても、なんだかいつもよりも甘えてくる気がする。
今はお昼時だというのに館内には人の気配がない。構ってくれる人がいないのだろうか。
おかげで私はレッキス種の短毛を、おまけにふわふわな毛を思う存分に撫で回すことができた。
堪能した私は茶々に一時別れの挨拶をして浴室に向かう。そこにも人はいなかった。露天風呂にはいるだろうと思ったが、いない。
ちゃぽんっ。
いた。一人居た。露天風呂の影に居る。
支度を済ませて蒸し風呂に入る。
いる。席が半分埋まっている。
どうやら浴室のほとんどがここに居るらしい。
先人たちと同様にじっくり蒸される。
ポツッポトっポツポツポトッ…
チョロチョロチョロ…
ごぼぉぁぉ…
ファアアアァ…
無音の中、蒸気の垂れる音や水風呂に注ぐ水音、露天風呂に勢いよく注がれる温泉の音を聴き、いっぱいに満たされた蒸気に反射する照明のあかりをぼんやり眺めていると、今週の我が身に起きた忙しさや雑多が一瞬で消え去った。
照明はまるで早朝の朝霧に浮かぶ月明かりのようで、身を清められているかのよう。
そうこうして、蒸し風呂と温泉でグデグデになった外核を引っさげて休憩所へ向かう。
毛布一枚と座布団を数個拝借し、空いてるスペースに座布団を並べて寝る。これが湯守式の寝床なのである。
頭まで毛布をかぶり一眠りをした。中核が戻ってきている。自分の意識と輪郭がようやく結びついてくれた。
帰ろうと支度を済ませて茶々に帰りの挨拶をしにいく。
ゲージはまだ開いていた。
茶々は奥で眠っている。うさぎ特有の真横になりぐっすり眠るスタイルだ。私には全く気付きもしない。昼間よりは人が多いから、もしかしたら誰かにたっぷり遊んでもらったのかもしれない。
またね。そう一言かける。
茶々の呼吸でふわふわと上下するお腹の白い毛を眺め、自分の目尻が下がって微笑んだことを自覚する。
次も茶々が私と遊んでくれると嬉しい。今日もまた、心ゆくままに癒やされた。
女
読んでるだけで癒されました🥰私も今度行ってみようと思います😊
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