大津温泉 おふろcaféびわこ座
温浴施設 - 滋賀県 大津市
温浴施設 - 滋賀県 大津市
とある静寂の午後、
わたしはびわこのほとりに咲く、ひとときの湯けむりの都――おふろcaféびわこ座へと降り立った。
そこには、ふたつの世界が広がっていた。
ひとつは、低温のサウナ室。
ゆるやかに、ぬくもりが身体を包み込む。
時間がゆっくりと、ふわふわと流れ、まったりという言葉の意味が、ただ肌で理解されていくような空間。
もうひとつは、高温のサウナ室。
ここでは、風が舞った。熱が舞った。
そして登場したのは、甲賀の風を操る者――忍者アウフギーサー。
しゅっ、ぱっ、ふわっ、と舞うタオルは、
まるで空気を操る魔術のようで、
「これはもう…恋…?」と、錯覚するほどに見惚れてしまった。
「レベル10まであるよ。滋賀ではかなり熱い方だよ。」
その言葉に、火照った心がさらに炙られていく。
そして外気浴。
アディロンダックチェアに身を預ければ、
びわこの風がそっと耳元で、「おつかれさま」と囁いてくれる。
この椅子、ただの椅子ではない。ととのいの王座である。
…が。
サウナ室の片隅では――
ケロリンのマットを尻に敷き、サウナキャップを被った男が、延々しゃべり続けていた。
その声はまるで、夢の湖面に投げ込まれた石のようで、
波紋のように“ととのい”をかき乱していく。
静けさを求める者には、少々つらい現実。
さらに、まったり漫画ゾーンでは、
ふわふわの夢を紡ごうとした矢先、幼児が、ドタバタドタバタ…と
まるで夢を破る目覚まし時計のように、空間を走り抜けていった。
でも、それでも、
びわこ座という場所には、
静かで、熱くて、ふわりとした“時間”があった。
魔法の椅子と風と水が、
「またおいで」と笑っていた。
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