都湯-ZEZE-
銭湯 - 滋賀県 大津市
銭湯 - 滋賀県 大津市
かねてより、心の地図にそっと印をつけていた憧れの場所――都湯 膳所。
ついにその扉をくぐる時が来た。
到着するやいなや、わたしの指先はそわそわとスマートフォンに伸び、
この絵のような佇まいを、夢の記録にとどめようとシャッターを切った。
(外から写真…たくさん撮ってしまいました…)
番台に立つお姉さんの声がとても優しくて、
ここはただのお風呂屋さんではなくて、まるで温もりが人の姿をして出迎えてくれたかのよう。
中に足を踏み入れると、そこは地元の人々の時間が静かに流れている場所。
そして、サウナ室――その小宇宙の扉を開ける。
木の香り、温度のまとわりつき、
まさに“質がいい”という言葉がすっと浮かぶ、本物のサウナ。
ただ、そこにはひざを突き合わせるほどの近さで向かい合う
地元のおじいさまたちの物語があった。
「水原はどうだった?」「あそこは芋洗い状態」「最近できた○○は~」
――飛び交う言葉たちは、まるでこの町のサウナ地図の裏話。
彼らはきっと、長年この熱と水と整いを愛してきた、**“地元のサウナー語り部”**なのだろう。
水風呂は一人入れば満ちるほどの小さな泉。
でも、その湯けむりの間をぬうように、
若いサウナファンたちが次々と入れ替わり立ち替わり、まるで巡礼のように訪れていた。
こじんまりとした空間。
けれど、その小ささは、むしろ“深さ”だった。
空間に宿る歴史、日常、静けさとざわめき――
すべてが重なり合い、「都湯膳所」というひとつの詩(うた)を紡いでいた。
ああ、夢みたいな時間だった。
心のタオルを、そっと絞るように。そんな、サ活だった。
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