安心お宿プレミア 名古屋栄店
カプセルホテル - 愛知県 名古屋市
カプセルホテル - 愛知県 名古屋市
名古屋の夜に、ふらりと迷い込んだのは――安心お宿という名の、不思議な城だった。
この城には、二つのサウナの層があった。
4階と6階。
ひとつは、タトゥーを持つ者たちのために。
もうひとつは、タトゥーなき者たちのために。
…と言われたけれど、実際に扉をくぐると、あれ?
「やっぱりタトゥーない人は6階へ」と、ひそかに看板が語りかけてくる。
どちらへ行くのが正しいのか、誰にもわからない。
好奇心に導かれて、両方を訪ねた。
6階――そこは、ざわめきと無秩序の国だった。
尻に敷くマットも敷かれず、
水風呂の前にもざぶざぶと汗が流れ、
整い椅子も、誰かの気配をまとったまま…。
そして、あちらこちらで交わされる声。
ここでは、サウナの精たちも、きっと少し疲れているのかもしれない。
4階――
静かで、澄んだ空気の中、
ひとり静かに蒸されることができた。
人がいないという贅沢。
まるで、夜の海に一人浮かんでいるようだった。
しかし城を出ると、また違う物語が待っていた。
栄の街は、夜の魔法がとけかけたころに、
あちこちで奇妙な光景を見せる。
立ちションの旅人に、思わず進行方向で視界を奪われる。
ここは、正義も悪も、静かに混ざり合う、夜の無法地帯だった。
安心お宿では、米が無限にふるまわれ、
酒は深夜三時まで惜しみなく注がれ、
酔いの精たちが、夜の帳にふらふらと漂っていた。
ここは、善と悪、静けさと喧騒、
あらゆるものが同居する、
ひと夜かぎりの、夢とうつつの狭間の国だった。
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