中村浴場
銭湯 - 東京都 練馬区
銭湯 - 東京都 練馬区
鉄の融点が約1500℃であるように、ストレスの融点は80〜100℃前後にあると思う。なのでサウナはある程度メンタルヘルスに効果があるように勝手に思っているのだが、120℃に近くなるとストレスは焦げつき、燃え尽き、消し炭のように水に流れて排水溝に消えていく。これが中村浴場である。
なんだかんだ半年ぶりの中村浴場、直前に味噌一でチャーシューメンを食べ準備万端である。
体を洗いサウナへ、一曲目は異邦人。この灼熱サウナでメッセージ性の高い歌謡曲を聴くとすっかりその気になってしまう。歌詞をじっくり聴いていると思い浮かぶは先日の九州だ。雨の熊本を歩く私、その姿をそっと振り返りまた雨の中を急ぐ何処かの誰か……なんだかすごく辛くなってきて妄想はやめた。おそらく脳の大事な部分にも熱が入ってしまったのだろう。これではハードボイルド、というかゆで卵である。もう手遅れかもしれない。
しかしこの熱さは久しぶりだ。都内にも120℃に近い熱いサウナは何店舗もあるが、いわゆる遠赤外線ストーブのこれだけ熱いサウナはあまりない。このタイプのストーブの特徴は対流ではなくビームのように熱線が襲ってくる。一応サウナハットは被っているが、ほとんど意味はない。全てを貫通して体内の深いところに熱を与える。最上段に座れば一瞬で皮膚の水分が蒸発するのを感じる。
そしてこのサウナではストーブを凝視する事は許されない、10秒も見つめれば眼球が痛くなるのを感じるだろう。まさに謁見の場である。人がいかにちっぽけな存在感か、中村浴場は教えてくれる。
サウナも素晴らしいが、それに匹敵するレベルで水風呂も最高だ。激しくオーバーフローする井戸水、我らが第二喜多乃湯よりもよく冷えている。水の底へ永遠に沈みたくなる。あまりに長く入っていると脱出不可能となるWRYYYYY!!!
閉店まで徹底的に楽しむ。全身にあまみ、というか普通に軽度熱傷である。しっかり化粧水とかクリームとか付けるが実際に意味があるのか分からない。風呂上がりのケアの正解なぞ知るものか、ただ長浜ラーメンを食べるのは間違っているのは何となく分かる。
日中は太陽光に焼け、夜はサウナで焼かれて可哀想な皮膚である。おまけに贅肉によって縦にも横にも引っ張られるとは申し訳ないことこの上ない。もう少し自分に優しくしなくては…と考えるきっかけとなった、そんな夜だった。
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