ぶっころりー

2024.06.30

1回目の訪問

念願のらかんの湯!某ボクサーを尊重し駅から30分近くかけて歩きコンディションはバッチリである。

今回各サウナやデザイン、チームラボの作品などたったの2時間半で抜かれる度肝は全て抜かれたが、その辺りは他の方々が沢山書いているので、私は個人的に一番驚いたプリンについて紹介したい。

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事が起きたのは薪サウナから出た後にふと見上げるとガラス越しに楽しそうな若者たちが何かを美味しそうに食べていた。つい気になり階段を登って見るに、ストーブを囲いながらプリンを食べているのである。
なぜプリン?ひょっとして持ち込み?と思ったが、私の父親のような年齢の男性がニコニコしながら冷蔵庫を開けてプリンを取り出しているのが見えて、事態をようやく飲み込んだのである。

思えばプリンと言うのは非常に嚥下しやすい。おまけに糖質もあるし、サウナに感動していつも以上に自身を追い込んでしまったサウナーにはもってこいの食品なのだ。しかしこれでは足りない、熱中症予防には塩分が必要である。麦茶はあるがこれでは5,000円の元を取ろうとして、限界のその先を攻める私のようなサウナーが倒れてしまう。救いはないのか!?と見渡すと、先ほどの男性がニコニコしながら白い粉をプリンに振りかけてるではないか…恐る恐る見ると、塩!しかもなんだか高そう!私も少しだけかけて、ストーブ横に座り食べてみる。

少し硬めに仕上がってる柔肌にスプーンを差し込むと、まるで予見していたかのようにサクッと切れる。上にかけた塩をスプーンの先端で掬い口に運ぶと、まずはプリン本来の甘味、カスタードのような優しく子供から大人まで大好きなあの味だ。これだけでも十分美味しいが、プッチンプリンで育った私は次の味の変化を求める。子供の私がカラメルの少し苦くて違う種類の甘みを期待するが、そこに来るのが甘みを帯びた塩味である。ザラっとした結晶が舌に乗りカスタードの甘さを数倍に引き出す。

「……美味い」

思わず口に出てしまう。
薪が煌々と輝くのを眺めながらゆっくり食べようと思ったのに、気がつけばあと一口だった。塩とプリン、なんてこんなに合うのか。家に帰ったらやってみようと思いつつ最後の一口を食べるとザラっとした食感がない。なんと塩が一切乗っていなかったのである。なんたる不覚!遠慮がちに塩をかけた2分前の自分を薪サウナの煙突に刺したかった。

仕方がないのでお代わりしようとすると、冷蔵庫に『おひとり様一つまで』と書いてあった。

私は膝から崩れ落ちた。

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