安里 アンリ

2020.07.27

1回目の訪問

今は引っ越してしまったものの、私は青春時代の久しい期間を当該銭湯のごく近所に住んでいたのもあって都合13、4年程こちらには足繁く通っている。

その間、外観や待合室に改変はあったものの風呂やサウナのスペックに変更は無かったのだが、コロナ禍の自粛期間を経たサ室周りのマイナーチェンジはサウナ愛好家にとっては一大事とも言える変革で、その報に接する否や垂涎おびただしく止まりえぬ事態であった。そう、リラックスチェア、またの名をととのい椅子の導入である。

ご多分に漏れず奇数日は男湯は遠赤サウナ、女湯は塩サウナである。

ガツン!とクる暑さ、という点でタテバの遠赤サ室のオリジナリティは出色である。昭和ストロングスタイルのカラッカラのドライ感ではなく、かと言って豊潤な湿度に陶酔できるというスタイルでもない。純粋に、ただひたすらに暑い。私の皮膚に、毛穴に、細胞のひとつひとつに「暑さ」の何たるかをさながら殴りつけるかのように教えてくれる純度の高い暑さだ。

ともすれば暴力的とさえ言えるそれを眼を閉じて受け止め、受け止め切った私が、この激しさこそ当該サ室特有の「愛」なのだと感得できた頃、私は覚束ない足でサ室を出、汗を流し、極楽風呂と銘打たれた水風呂に入る。

極楽風呂とはよく言ったもので、広さ、深さ、水温、そのどれもがこれ以上はないと言っていい絶妙のトライアングルで構成されている。

足先から浸して数瞬の刺すような冷たさ、全身を浸す時にやってくるやや強めの萎縮の先に、刺激と萎縮の反動からくる解放が待っている。
そう、深い碧さをたたえる水との境界線を失った肉体と意識が其処に現出するのだ。

それ即ち透明になった私。

永遠が瞬間に凝固され、無数の瞬間が永遠に融解する。自らが透明になり、半露天形式になっているこの水風呂の中から空を見上げていると、極楽とは空の彼方にあるのではなく、今、自分の内に在ると悟るともなく悟るのだ.....



気付けば私はまたサ室にいる。もはやその暑さに暴力性など寸毫とて感じ得ず、ただ愛が、愛のみがあった。

水風呂と何往復か済ませた後、私の肉体はととのい椅子の上に横たわっていた。

全身がジンジンとし、意識は此岸と彼岸の間を揺蕩っている。

これはととのい椅子どころの話しではない、在るのはグレートニルヴァーナ、即ち大・涅・槃。

大涅槃椅子だ。




....嗚呼、光が、見える。


心地よい音楽も。


.....お迎えが来たのかもしれません。。。

  • サウナ温度 102℃
  • 水風呂温度 14℃
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2020.09.01 13:22
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