天然温泉 楽天地スパ
温浴施設 - 東京都 墨田区
温浴施設 - 東京都 墨田区
東京の地を初めて踏んだのは、宮城県の山奥でホテルマンとして働いていた二十歳の夏、同僚と一泊二日の道程で真夜中から東京へと車を走らせていた。
同僚は東京にナメられるもんかと夏なのに紫色のスーツのセットアップを着込みリーゼントで決めていた。
夏の真夜中からする格好ではないと想ったが彼の意気込みを汲み取り自身の想いを一つ飲み込んだ。
自分はグランジロック被れでダメージジーンズにダメージTシャツという出で立ちで、二人並ぶと取り立て屋とそれに捕まったホームレスのようだった。
高速を下りて車を駐車場に止めるとデパートのマルイが目に飛び込んできた。
マルイのロゴの読み方を知らなかった自分は、oiパンクの掛け声だと勘違いし、こんなに巨大なパンクショップがあるとは流石東京!と密かに腰を抜かすほど驚愕した。
若者が上京したらまず行きたいのは渋谷だと思うが何故か僕等は錦糸町に到着していた。
楽天地と書かれたビルを二人で見上げながら、何を求めて錦糸町に降り立ったのか考えたが答えは一向に出ないまま、心に広がるモヤモヤを弄び喫茶店でナポリタンを食し、泊まるホテルを探しだしたが、二人の佇まいのせいか、どこも門前払いされ、流れ流れて流された結果、横浜のビジネスホテルのベッドで身体を横たえていた。
都会の世知辛さの洗礼を浴びた僕等はコンビニで買った缶ビールと少し冷めた焼鳥で東京に対峙した今日の自分達の健闘に乾杯した。
その時飲んだビールの味は今でも忘れない。
あれから二十年以上経ち、自分はあの頃見上げた錦糸町の楽天地の最上階から一糸纏わぬ姿で下の景色を眺めている。
92度のサ室は疲れた身体を優しい熱波で包み、15度の水風呂はその身体を引き締めてくれる。
休憩椅子に腰を深く沈め、錦糸町の街を見下ろすと今でもこのビルを見上げた二十年前の自分を見つける事ができる。
そうひとりごちる今、良くも悪くも、あの頃思い描いていた大人にはなってはいない。
だがそれでも、たった今ロウリュサービスを受け終えた自分は笑顔を浮かべ整っている。
時間の数だけ笑いと涙を重ね続けて今この地このサウナでこうしているのだ。
悪くない人生ではないか。
帰り道にマルイデパート前の信号で立っているとレイカーズのTシャツを着たオバさんに『マルイってどこですか?』と声をかけられた。
呆気にとられたが、○I○Iがoiではない事を知っている今の自分は『ここです』と返すと、オバさんは大袈裟にあらやだ!と恥ずかしそうに会釈をしながら光り輝く店内へそそくさと消えていった。
小さくなっていく紫色のTシャツを眺めながら、昔の同僚に久しぶりに電話してみようかなと思った。
新小岩🌈のチラーが直ったようなので良かったら行ってみてください😚✨
錦糸町にそのような思い出があったとは!何時でもあの頃を思い出せる場所で、今はサウナでととのえるって人生捨てたもんじゃないですね ^-^
名作!
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