おふろの王様 花小金井店
温浴施設 - 東京都 小平市
温浴施設 - 東京都 小平市
人は決して一人では生きていけない。
口にするには些か寒気がしてしまう程当たり前の事なのだが、いまだに
『俺は一人で生きてきたから』
なんて嘯く若者を見て、お前が住む家や、口にする食べ物や、かじりついてるスマホでさえ、誰かが作り提供してくれている代物なのだよと言いたくなる気持ちを心の奥底でチリチリと篝火を燻らせている日々の中、これまた当たり前の様にサウナに身を置いていると、サウナ否定派とサウナ肯定派に分かれた四人組のお爺様方の会話が耳に入ってきた。
サウナ→水風呂→休憩で気持ちよく整えるのだと語る三人の爺様に熱過ぎるのも冷た過ぎるのも意味が分からない。
そんな事したら死んでしまうではないかと反論する一人の爺様との終わりの見えない水掛け論が繰り広げられていた。
いてもたってもいられなくなったサウナ肯定派の一人が死ぬ気で入ってみろよとサウナ否定派にリラクゼーションの根本を揺るがしかねない発破をとんでもないテンションでかけ、否定派は怯む事なく『それで死んだらどうするんだ?』と笑顔で返した。
その笑顔に見惚れたのか一瞬の間を置き、
『死んだら・・・死んだら、見ててやるよ!』
と肯定派の爺様は返した。
『死んだら骨は拾ってやる』なんて台詞は聞いた事があるが、見ててやるとは、傍観なのか観察なのか看護なのか判別しかねる曖昧な返しではあったが、否定派の爺様はその言葉に『ありがとう』と言った。
そのありがとうの中にどれだけの想いが込められているのか自分なんかでは測り知ることは出来ないが、その場の四人は笑い合っていた。
どんな形であってもこの爺様方は死ぬ時に一人ではないのだろう。
それは凄く羨ましいし、喜ばしい事だ。
その四人を脇に見ながら自分は一人サ室に入り、今まで出会った人達を想い、これから出会う人達へ思い馳せていた。
そう、人は一人では生きてはいけないのだから。
出会いがないと裸のおっさん等に塗れたサウナで呟く本末転倒な自分の至らなさに寂しさが押し寄せ、『どうか生きている間に結婚が出来ます様に』とキングスサウナと銘打つサウナの王様に祈る横で『もう無理〜!』と熱さに耐えかねたサウナーが一人出て行った。
岩☆ロックさんのサ活は好きなので楽しみに見てますよ。
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