2019.01.02 登録

  • サウナ歴 12年 0ヶ月
  • ホーム サウナ&カプセルホテルレインボー本八幡店
  • 好きなサウナ サウナ室:テレビ無 音楽微かに有 暗め ikiストーブ 温度100度 水風呂15度 セルフロウリュ有
  • プロフィール 自分なりのサ道を極める為、全国のサウナを自転車に乗って作品を作りながら探索しては整う者でございます☆
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岩☆ロック

2022.02.21

10回目の訪問

境南浴場

[ 東京都 ]

人間この世に何かを残したいと思う生き物である。
だからこそサスペンス劇場で最初にフラグが立つ者はダイイングメッセージなるものを残そうとするのだ。

銭湯サウナとサウナ施設の客層は似てるようでほんの少しの違いがあると思う。
考えてみればコロナ前はサウナの中こそが交流の場として機能していたが、コロナ禍となった今では黙浴こそが当たり前のマナーだ。
それでも人間、ここで自分が生きていたのだと証明したくなるのが人情。
心地よい音量でクラシックがかかっている境南浴場のサ室の真ん中に身を置いていた自分の横で不自然なくらい身体を動かす方がいた。
その彼は体から溢れる汗を集めて指先で木の壁に何かを認めていた。
彼が退室した後、その壁を見てみると、
サウナ 
       スキ
と書かれていた。
熱い場所で彼の熱い気持ちが迸っていた。

一人となったサ室で自分は

        俺も

そう付け加えた。
壁に濡れた思いはものの三分で蒸発して消えた。

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岩☆ロック

2021.09.29

2回目の訪問

水曜サ活

コロナ禍以降行きつけとなった竹取の湯☆
90度のサ室は平日はとても空いているからだ。
仕事終わりに静かに疲れを癒やしていた。
18度の水風呂からあがり露天で外気浴していると露天風呂で足を滑らせ溺れかかっていたお爺さんを助けた。
その頭上、壁の上で鳩が交尾をしていた。

様々な生命の声明が一同に木霊した昼下がり☆

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岩☆ロック

2021.09.28

2回目の訪問

世の中の大体は当たりとハズレで区別出来る☆

今日は急遽撮影がリスケとなり一日丸っとオフとなった。
コンディションをととのえる為という名目で昨日から宿泊したサウナを出て向かったのは地元の銭湯。
店前には東京浴場組合プロデュースによるミニチュア銭湯フィギュアガチャがこれ見よがしに鎮座しているのを見て自身の奥底に仕舞い込んでいた子供心が水を得た魚の様な勢いで飛び出してきた。
ガチャガチャのコイン投入口に硬貨を入れ始めた自分を見て後ろに並んでいた常連の老人達がざわめくのを感じ、小さな声で

『当たれ』

と呟くのが聞こえてきた。

勢いよく転がり出してきたブルーのカプセルを取り出すと、常連の老人達は興味津々で皆口を揃えて『当たるといいね』と声を掛けてくる。
今のご時世のガチャはどれもクオリティが高く当たりもハズレも無い気がするが、『中身は無料券かな?』など目の前にある説明も兼ねてる銭湯フィギュアガチャのポスターに目もくれず早く中身を見せろと言わんばかりの笑顔の老人達を見ていたら、キン肉マン消しゴム(略してキン消し)に夢中になっていた小学生の頃友達とガチャの機会の前で張り付くようにたむろしていた事をフラッシュバックで思い出し、何ともノスタルジックな気持ちになった。

よく分からない皆の期待を背負いカプセルを開けると中身は銭湯5点セットのフィギュアだった。
その瞬間、自分達の中に当たりなのかハズレなのかよく分からずどう反応すればいいか分からない何とも微妙な空気が流れた。

一つ一つ常連さんにフィギュアガチャの説明をすると自分が引いたフィギュアが少し地味目に思えたのだろう。
『次はこのデカイの当たるといいな!』と言いながら浴場の中へ消えていく。

手元のフィギュアを見つめ、こんな小さな出会いを体験できた事に自分は今日という一日は当たりだなとサウナの中でひとりごちた☆

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岩☆ロック

2021.01.29

3回目の訪問

仕事中にCHAGE&ASKAを聴くと翌日に必ずアスカの110℃のサウナに潜り込んでしまうのは、サウナマニアなのか、ASKAマニアなのか、どちらであるのかなんて今ではもう分からない・・・☆

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岩☆ロック

2021.01.27

3回目の訪問

水曜サ活

ジーザス!
102℃のサ室のなか隣で座っていた外国の方が小さく呟いた。
何が彼の心に引っかかったのかはわからないが表情を見るとネガティブな印象は受けなかったので日本ならではの昭和なサウナに浸ってのことなのかもしれない。

宗教に傾倒したことはないが、今まで生きてきたなかで幾度となく神に祈ってきた。
そして昨年から世界を覆うコロナ禍だ。
世界各国で人類がそれぞれの神へ声を上げている昨今。
私事だが自分も年始に予定していた舞台公演が年始早々に出された二度目の緊急事態宣言発令に伴い無観客生配信へ企画を変更せざるを得なかった。
何とか紆余曲折を経てその公演も無事終了出来たが、スタッフやキャスト達と『大丈夫!絶対やり切る!』とそれぞれが己に言い聞かせた言葉の魔法の力も成功の一つだったように思う。

そんな諸々の禊にとニュー大泉に来ていた。
受付のママさんに『ごゆるりとどうぞ』と声をかけられ、そのごゆるりという上品で温かい響きに体温も一度くらい上がった気がした。
102℃のサ室に15℃の水風呂でふんわりとした意識のなか思わず『ととのった』と呟いてみると言葉の魔法の力は優しくしっかりと体を包んでくれ宙に浮く様に禊を済ます事ができた。
気をよくした自分は今日はいい言葉だけで一日を埋めるのだと決めた。

やはりサウナはいい。と水風呂脇に置かれたととのい椅子でひとりごちていると先ほどジーザスと呟いていた外国の方が水風呂に勢いよく潜った。
表面張力を破壊するほどの彼の勢いは水風呂の水を津波の様に変え、椅子に座ってた自分も勢いよく水に塗れととのいの彼方から一気に現実に引き戻された。

思わず『メーン!!!』と叫んでから彼に勢いよく汚い言葉を吐く自分がいた。

その後彼とは少し話してお互い謝って笑顔で別れる事が出来たのはサウナでの出来事だったからかもしれない。

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岩☆ロック

2021.01.03

2回目の訪問

取り急ぎ今年のサウナ初め決めさせて頂きました☆

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岩☆ロック

2020.11.30

4回目の訪問

神様はたまにふと粋な計らいを見せてくれる。

仕事を終えその足で午前中からレインボー本八幡に突入すると今日の午前中の爽快な陽光が換気の為開け放たれた窓から差し込み、それが立ち登る湯気とバイブラによってはしゃぐ子供の様に乱れ踊る水滴達の乱反射によって小さな虹が窓際にひっそりと淡く生まれていた。

スマホなんてものも存在しない子供の時分、空に虹を見つけると時の経つのも忘れ、いつまでもその七色の流線形を眺め続け、いつ消えるやもしれないその存在を脳裏に焼き付けようと必死だった。
その思い出も鮮やかな絵の具の一つとなるのだろう。
瞳を閉じて心に映し出す虹は写真なんかよりもこの上なく美しく自分のなかに彩られている。

写真には映らない美しさがあると甲本ヒロトはリンダを何度も呼びながら謳っていたが、それが真実である事を僕はこちらの低温サウナ改め瞑想サウナの暗闇のなかで悟った☆

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岩☆ロック

2020.11.25

2回目の訪問

水曜サ活

飛ぶ鳥の夢を見に久しぶりに降り立った☆

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岩☆ロック

2020.11.07

1回目の訪問

秀の湯

[ 東京都 ]

次回制作する映像作品の打ち合わせ後、監督とサウナでコロナ以降の舞台や映像制作の活動について語っていた。
この現状でどんな新しい表現方法を見出せるか?など、監督の彼は静かだが、マグマの如く燃えたぎる熱い思いを語って聞かせてくれていた。

だが、彼の右の鼻から鼻糞が出ていた。

その鼻糞は小さいが故に大きな存在感を自分に示してくる。そんななか彼が真剣な面持ちで熱い想いを語りかけるが、正直それどころではない。
熱い想いを語れば語るほど鼻糞の威力は増していく。
真剣な想いに被さる鼻糞がもたらす作用は最早悲喜劇でしかない。
どれだけ熱い想いを語ったところで鼻糞が付いているというだけで、
『いやいや鼻糞付いてるし!』
との感情から逃れる事が出来ない。
たまにサーカスの空中ブランコよろしく優雅にその身を揺らす鼻糞から自分の視線が動かなくなっていた。
監督は最近見て驚いた作品などの話に移行している。
鼻糞はそのテンションの度合に合わせ細かく揺れている。
そんななか顎付近に小さな違和感を認め眼を凝らすと顎付近にも粘着的な鼻糞が着いているではないか。

・・・どうしてだ?
どのタイミングでそこまで辿り着いたんだ?
お前のその旅のストーリーを教えてくれよ!?
段々監督の彼にも腹が立ってきた。
なに俺の目の前で縦横無尽な鼻糞サーカスを繰り広げてくれてるんだ。
君の熱い気持ちが一文字も心に入ってこないではないか。

鼻糞という存在の耐えられない重さに押し潰されそうになり、たまらず彼の話を遮り、ずっと力強く存在している鼻糞が顔についているぞと伝える。
彼は照れ笑いながら『早く言ってよ』と顔を浴槽の外に出し水風呂の水で洗い流した。
その姿を見ながら自分の中では、鼻糞ってどこに着いていたら自然に見えるのだろう?
その事で頭がいっぱいになっていた。

取れました?と振り向いた彼の右鼻にはもう鼻糞の名残はなかった。

しかし、左の鼻穴から新しい命が生まれていた。

いい作品を作る事を誓い、我等はサウナルーティン二巡目へ96度のサ室に突入していった☆

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岩☆ロック

2020.11.07

1回目の訪問

昭和の香りを感じると心が俄かに高揚する。

下北沢は昭和から受け継がれる日本のカルチャーの雰囲気を色濃く残した街だ。
あの狭い街の中にライブハウスや、劇場が所狭しと乱立し、その周りを優しく見守る様にうらぶれることで色気をそこはかとなく醸し出す飲み屋が固めている。
この街に来る度、受け継がれてきた歴史の中の一人になった気がする。

そんな街にサウナがあるのは知っていたが世田谷渋谷界隈では大好きなマルシンスパがあった為足を運んだ事がなかったが来年上演する舞台の打ち合わせが下北沢だったこともあり早々に切り上げショートコースでいざ初ミナミへ。

湿度という概念を失ったとしか思えないカラッカラの96度のサ室。
音を失い、画面もそれこそ壊れかけのTV、ストーブ前の柵や天井までも何時崩れても構わないと言わんばかりの空間で自分は初めて下北沢のライブハウスのステージに立った時の事や、初めて下北沢の劇場の舞台に立った時と同じ高揚感を感じていた。
これで漸く昭和から受け継がれてきた歴史の1ページに自分も立つ事が出来た気がしたのだ。
他の街ではない、ここの街でしか感じられない感慨深さに心とともに肌を焦がしていた。

最近はサウナーに特化したサービスに溢れた施設が多いがここはサ室、水風呂、ロッカールームまでも良くも悪くも昭和ならではのぶっきら棒さに満ち満ちている。

だが、それがいい。それでいい。
それが歴史を伝える言葉になるのだから。

帰宅するとポストに大きな封筒が入っていた。
サウナ・スパ健康アドバイザーの資格に合格していた。

新しい日々がこれからも歴史を刻む☆

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岩☆ロック

2020.10.10

6回目の訪問

東京の地を初めて踏んだのは、宮城県の山奥でホテルマンとして働いていた二十歳の夏、同僚と一泊二日の道程で真夜中から東京へと車を走らせていた。

同僚は東京にナメられるもんかと夏なのに紫色のスーツのセットアップを着込みリーゼントで決めていた。
夏の真夜中からする格好ではないと想ったが彼の意気込みを汲み取り自身の想いを一つ飲み込んだ。
自分はグランジロック被れでダメージジーンズにダメージTシャツという出で立ちで、二人並ぶと取り立て屋とそれに捕まったホームレスのようだった。

高速を下りて車を駐車場に止めるとデパートのマルイが目に飛び込んできた。
マルイのロゴの読み方を知らなかった自分は、oiパンクの掛け声だと勘違いし、こんなに巨大なパンクショップがあるとは流石東京!と密かに腰を抜かすほど驚愕した。

若者が上京したらまず行きたいのは渋谷だと思うが何故か僕等は錦糸町に到着していた。
楽天地と書かれたビルを二人で見上げながら、何を求めて錦糸町に降り立ったのか考えたが答えは一向に出ないまま、心に広がるモヤモヤを弄び喫茶店でナポリタンを食し、泊まるホテルを探しだしたが、二人の佇まいのせいか、どこも門前払いされ、流れ流れて流された結果、横浜のビジネスホテルのベッドで身体を横たえていた。
都会の世知辛さの洗礼を浴びた僕等はコンビニで買った缶ビールと少し冷めた焼鳥で東京に対峙した今日の自分達の健闘に乾杯した。
その時飲んだビールの味は今でも忘れない。

あれから二十年以上経ち、自分はあの頃見上げた錦糸町の楽天地の最上階から一糸纏わぬ姿で下の景色を眺めている。
92度のサ室は疲れた身体を優しい熱波で包み、15度の水風呂はその身体を引き締めてくれる。
休憩椅子に腰を深く沈め、錦糸町の街を見下ろすと今でもこのビルを見上げた二十年前の自分を見つける事ができる。
そうひとりごちる今、良くも悪くも、あの頃思い描いていた大人にはなってはいない。
だがそれでも、たった今ロウリュサービスを受け終えた自分は笑顔を浮かべ整っている。
時間の数だけ笑いと涙を重ね続けて今この地このサウナでこうしているのだ。
悪くない人生ではないか。

帰り道にマルイデパート前の信号で立っているとレイカーズのTシャツを着たオバさんに『マルイってどこですか?』と声をかけられた。
呆気にとられたが、○I○Iがoiではない事を知っている今の自分は『ここです』と返すと、オバさんは大袈裟にあらやだ!と恥ずかしそうに会釈をしながら光り輝く店内へそそくさと消えていった。
小さくなっていく紫色のTシャツを眺めながら、昔の同僚に久しぶりに電話してみようかなと思った。

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岩☆ロック

2020.10.07

6回目の訪問

水曜サ活

人は決して一人では生きていけない。
口にするには些か寒気がしてしまう程当たり前の事なのだが、いまだに
『俺は一人で生きてきたから』
なんて嘯く若者を見て、お前が住む家や、口にする食べ物や、かじりついてるスマホでさえ、誰かが作り提供してくれている代物なのだよと言いたくなる気持ちを心の奥底でチリチリと篝火を燻らせている日々の中、これまた当たり前の様にサウナに身を置いていると、サウナ否定派とサウナ肯定派に分かれた四人組のお爺様方の会話が耳に入ってきた。
サウナ→水風呂→休憩で気持ちよく整えるのだと語る三人の爺様に熱過ぎるのも冷た過ぎるのも意味が分からない。
そんな事したら死んでしまうではないかと反論する一人の爺様との終わりの見えない水掛け論が繰り広げられていた。
いてもたってもいられなくなったサウナ肯定派の一人が死ぬ気で入ってみろよとサウナ否定派にリラクゼーションの根本を揺るがしかねない発破をとんでもないテンションでかけ、否定派は怯む事なく『それで死んだらどうするんだ?』と笑顔で返した。

その笑顔に見惚れたのか一瞬の間を置き、
『死んだら・・・死んだら、見ててやるよ!』
と肯定派の爺様は返した。

『死んだら骨は拾ってやる』なんて台詞は聞いた事があるが、見ててやるとは、傍観なのか観察なのか看護なのか判別しかねる曖昧な返しではあったが、否定派の爺様はその言葉に『ありがとう』と言った。
そのありがとうの中にどれだけの想いが込められているのか自分なんかでは測り知ることは出来ないが、その場の四人は笑い合っていた。

どんな形であってもこの爺様方は死ぬ時に一人ではないのだろう。
それは凄く羨ましいし、喜ばしい事だ。

その四人を脇に見ながら自分は一人サ室に入り、今まで出会った人達を想い、これから出会う人達へ思い馳せていた。

そう、人は一人では生きてはいけないのだから。

出会いがないと裸のおっさん等に塗れたサウナで呟く本末転倒な自分の至らなさに寂しさが押し寄せ、『どうか生きている間に結婚が出来ます様に』とキングスサウナと銘打つサウナの王様に祈る横で『もう無理〜!』と熱さに耐えかねたサウナーが一人出て行った。

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岩☆ロック

2020.09.10

5回目の訪問

千代乃湯

[ 東京都 ]

幼稚園に入りたてだった四歳の頃、帰り道に野良犬と遭遇し、壮絶な逃走劇を繰り広げたことがある。

少年にもなり切れていなかったあの時の幼い自分にとって遭遇した野良犬はライオンぐらいのインパクトで、目を合わすと敵意を感じ追わずにはいられない犬の習性も知らず正面から目を見つめてしまい、それから止まっては追われを幾度と繰り返し、泣き叫びながら電話ボックスに逃げ込みただひたすら助けを待った。

それがトラウマとなり、チンピラに喧嘩を売られるよりも小さなチワワに吠えられる方が断然怖いと感じるほどの犬恐怖症として生きてきた道程をサウナ内のモニターで流されている動物番組を見ながら思い出していた。

あれから幾月過ぎて、今では朝に出会うご近所さんの犬にやたらとなつかれ犬を抱っこするまでに克服する事が出来ている。
だが全国民がソーシャルディスタンスを唱える今、好意で寄ってきてくれる人や動物に嬉しさを感じる反面、必要以上に接近される事に若干の躊躇を感じざるを得ない現状である。

『お兄さん、ピーデーエフって知ってる?』
92度のサ室の中で職人と思きガタイとテンションを携えたおじさんに声をかけられた。
『あ、はい。』と返すとPDFとは何なのか説明をして欲しいと言われた。
『ここらのおっちゃん達にゃ、何が何だかさっぱりだからよ。』
見ると彼の横には三人のお爺様方が人懐っこい笑みで答えを今か今かと待ち構えている。
彼の人の良さ感と豪快な声に気圧されPDFについて説明をした。
真面目に聞きいっていた裸のお爺様方を見ると分かったような分かっていないような中途半端な表情をしながら、なるほどね〜と水風呂に向かっていった。

自分の説明に至らなかった箇所があったのかと思いながらサ室に残っていると、声をかけてきたおじさんが
『いやぁ〜そういうことだったのか。ピーデーエフってピーディーエフってことなのか!流石センパイ!』と柏手を打ちながらソーシャルディスタンスなんて知らないと言わんばかりの相変わらずなテンションと人懐っこい笑顔で声をかけてきた。

それからおじさんは説明下手を露呈され落ち込む自分をサウナで見つける度に、『センパイ!』と声をかけてくるようになった。

そんなおじさんを見つける度、自分は四歳の頃に追いかけてきた野良犬を思い出す。
犬恐怖症を克服した自分もいつかこのおじさんのテンションの克服と説明上手になれる日が来るのか?そしてコロナの終息を期待し明日も頑張らねばと今日もととのいを終えた。

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岩☆ロック

2020.09.02

1回目の訪問

水曜サ活

十年ほど前に通っていた銭湯が五年前ほどに閉店し、廃墟化した施設前を何度も通り過ぎていた。
そして更に五年経ち通り過ぎた時、名前を桜湯として開業しているのを見て涙が込み上げた☆
開店十分前から並び入ると立川梅の湯傘下となり復活したことを知る。
内装や店のコンセプトが変わったとしても今の自分にとって重要なのはサウナと水風呂と休憩のルーティンを心地良く過ごせるかどうかである。

その基準で今の桜湯を体感すると、全てに於いてありがとうと言わざるを得ない。

昔の名残は正直あまりないが、100度のサ室に26度とぬるめだが深めの水風呂、浴場入口脇に配置された休憩椅子までも、こんなに整ってしまうのかと思えるほど素晴らしかった。
休憩椅子の配置された場所の意味を考えると(あくまで主観的思考であるが)なるほどと腑に落ち、明日もおそらくここにいることになるだろうと思う☆

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岩☆ロック

2020.08.23

3回目の訪問

松の湯

[ 東京都 ]

人生を生きている間に奇跡というものに出会す事はどれくらいあるのだろう?
奇跡といってもピンキリで些細なものから言葉を失ってしまう程のものまで、深く考えれば自分が今こうして生きていることさえ含め、今も世界のどこかで奇跡は起きていることなのだと思う。
コロナ禍の今だから余計にそう思いを馳せる夏の暑い昼下がり、自分は言わずもがなサウナでのととのいを求め今日は銭湯で過ごしていた☆

最近の銭湯サウナはソーシャル・ディスタンス、飛沫感染防止の為、人数制限、時間制限を課す施設が多いが、こちらはかなり奥深い住宅地にある為か、人数制限を課しているのに定数にいったところを見た事がないくらい貸切できてしまうところだ。

三時間かけて幾多のルーティンをこなし、フラフラになりながら脱衣場で着替えていると隣にこれから湯船に入る為にベンチに座りゆっくり服を脱いで準備している90代と思しき老人がいた。

その隣で座りながら身体に塗り薬をまんべんに塗っていたところ、その老人が
『あれぇ?・・・どこいった?』
とゆっくりと鞄を漁り、顔を上げ、また鞄を漁ることを繰り返し続けていた。
自分が一通り塗り薬を塗り終えた時、老人が話しかけてきた。
『すいません・・・鍵見ませんでしたか?』
『鍵?どんな鍵ですか?』
『あそこの』
と指差し言うが、そのあそこの指の先を見ると左右に首振る扇風機しか見えず、あそこがどこなのか分からないまま二人で一緒に探し出したが、その鍵の形態も不明な為見つからず、落ちた肩を更に落とした老人は、
『仕方ないか・・・ありがとうございます。』と石鹸とシャンプーを入れた桶を抱え立ち上がった。
その瞬間微かな音が自分の耳に届いた。

自分の視線は狭い脱衣場を一周し、ある一点で止まった。
その先にお尻の肉に挟まった小さな鍵をぶら下げたまま浴場へ入ろうとする老人の背中があった。

眼鏡を額に上げたまま、眼鏡を探す喜劇役者以上の奇跡に遭遇し、自分は言葉を失い逡巡した。

こんな時なんて言えばいいのだろう?

自分が声をかけなければ老人は鍵を無くした喪失感に苛まれながら、そのまま湯船に浸かってしまうだろう。

自分はコロナ禍に入ってから一番の大きな声で叫んだ。

『お爺さん!ケツ!ケツに鍵が!』

いきなりの通った声に驚き振り返った老人は自分の視線に手を落とし、尻肉に挟まった鍵を手に取り掲げながら満面の笑顔を自分に送り

『あったねぇ』

と呟き浴場へ入っていった。

奇跡が通り過ぎた脱衣場にいた他の客達が笑いを堪えるため俯いたまま、静かに服を急いで着始めた。

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岩☆ロック

2020.08.18

9回目の訪問

境南浴場

[ 東京都 ]

いやぁ、あの音聴くと夏が来たって感じしますよねぇ・・・
え?蟬の鳴き声?
あ、いや、違います。
境南浴場のサ室のBGMの話です☆

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岩☆ロック

2020.08.18

4回目の訪問

千代乃湯

[ 東京都 ]

いやぁ、毎日あついっすねぇ・・・湿度も高くて・・・ねぇ?
え?東京の気温?
ああ、違います、千代乃湯のサ室のコンディションの話です☆

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50

岩☆ロック

2020.08.02

3回目の訪問

サウナも水風呂もまろやかだという言葉はこの施設の為にある☆

ただ毎回ここの休憩室のリクライニングチェアで21の意味について考えあぐねる日々だ☆

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76

岩☆ロック

2020.08.01

1回目の訪問

サ室に入った瞬間に心のビデオテープは十年前に巻き戻された☆

金無し暇無しだったあの頃、深夜まで続いたロケの後片付けを休日返上で取り掛かりブラック企業の概念もなくただひたすら多忙に多忙を重ねて駆け回ったあの頃、サウナに何の感情も抱いていなかったあの頃だ。

同僚に明日身体を動かすそれだけの為にサウナ施設に連れてこられ、少しでも休息をと二人で入ったサウナ施設。

それがどこだったか?名前も思い出せないまま十年以上の月日を重ね自分はサウナーへと召喚されていた☆

人生何が起こるか分からない。

パフォーマーとして十五年ぶりに降り立った大塚、本番まで四時間の猶予があると調べ午前中からこちらへ入店。

時間に限りがあるからと急いでサ室へ突入した矢先身体が俄かに信号を脳へ送った。

ここ、知ってる・・・。

モニターも音楽もない部屋奥で囲われたサウナストーンがチリチリカンカンと出す音だけが響き渡る狭いサ室が、記憶のアルバムを名を忘れたサウナ施設のページへとめくり自分をのなかで一致した☆
十年以上経って、漸く又巡り合えた☆

サウナイキタイではサ室90度、水風呂17度と書かれていたし実際その位置に目盛りは置かれていたが、サ室はそこからプラス5度、水風呂はそこからマイナス3度の体感で、何より時間帯のせいか貸切状態となり静寂の中で整える事ができた。

その後、本番に向け準備をしていたら十年以上会っていなかった元共演者と偶然再開した。
しかしどういうわけか彼の名前が思い出せない。
とてもフレンドリーに話しかけてくるし、顔もなんとなく覚えているのだけれど・・・どこの現場だったっけ?渦巻くモヤモヤをひた隠し笑顔で話を合わせ事無きを得たが未だに名前が浮かび上がってこない。

サウナに入れば思い出せるかしら?

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岩☆ロック

2020.07.01

1回目の訪問

水曜サ活

時代により世相も変わりゆくなか、水道橋の近くに昭和から変わらずに看板の光とサ室の温度を120度近くに保ち続けていたことに涙を禁じ得ない程に素敵なサウナと水風呂だった☆

サ飯は悩んだ挙句、昭和の名残に触れるようにとカレー蕎麦をウーロンハイとともに注文。

一年も半分の折り返しをきったこの日に出会えたことに感謝☆

合計9ターン繰り返したが毎ターン震えるくらいガンギまりできたのはここが初かもしれない☆

漫画のライブラリまで昭和であったことにシュール飛び越えて称賛に値するいい施設でありました☆

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