月見湯
銭湯 - 北海道 札幌市
銭湯 - 北海道 札幌市
新年初の銭湯。女子中学生3人ともうすぐ40代になる男性は月見湯に向かった。少しずつ見えてくる大きな建物に私はわくわくした。
中に入ると招き猫と蛙の置物が迎えてくれた。靴箱は大きな木のカギがついた、見たことのない仕組みで驚いた。その先のロビーは、広々としていた。
早速脱衣所へ。3人でトイレの取り合いをしたあと、服を脱いだ。ほとんど脱いで、あとは下着だけになったそのとき。
「○○、パンツの柄バレリーナだねー」
私は思ったことをポロリと口に出してしまった。するとそのバレリーナパンツは下着のまま踊りだし、似非バレリーナと化した。
そして、浴場へ。
バレリーナパンツのあいつは「真ん中がいい!」と1人ごねていた。結局端っこに座った。バレリーナパンツはその後も文句を言い続けていた。
私たちは体を洗い終え、超音波風呂に入った。浸かりやすい温度だった。そのあとは露天風呂へ。北海道の冬は寒いが、火照った体には丁度良かった。
露天風呂では友人たちが恋愛トークに花を咲かせていた。2人の話を聞いていたら、人に好かれにくい自分を改めて実感し、悲しくなってきた。1人寂しく体育座りをしながら空を眺めた。
露天風呂があまりに気持ち良すぎて「7時半には出てきてね」と言われていたのに、気がついたら7時40分になっていた。
私たちは急いで脱衣所に戻って服を着始めた。急いでいるのに、バレリーナパンツはまた鏡の前で踊りだした。私はバレリーナパンツと友達だと思われたくなかった。ちなみに、こいつは替えの下着を忘れて、帰りもバレリーナパンツだった。
服を着終わり、急いでロビーへ向かった。ロビーについた瞬間、私はアイスと牛乳たちのことが気になり始めた。時間はないが、フルーツ牛乳を買った。
うますぎる。
一口で風呂上がりの牛乳の虜になってしまった。すぐさまイチゴ牛乳とコーヒ―牛乳を追加した。牛乳に囲まれて幸せだった。さらに、火がついた食欲に任せ、わらび餅アイスも買い、5秒で平らげた。
私たちが帰ってきたのは8時半ごろ。気づけばさっき食べたはずのアイスがすでに恋しくなっていた。火がついた食欲の暴走は止まることなく、私を近所のスーパーへ向かわせた。そして、暴走した食欲が私に無理やりチョコモナカジャンボを購入させ、それも5秒で平らげさせた。計アイス2個・牛乳2本。
―その夜私はお腹を壊した。
でも、飲めなかったイチゴ牛乳は次の日に美味しくいただいた。
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