佐賀の湯処 KOMOREBI
温浴施設 - 佐賀県 佐賀市
温浴施設 - 佐賀県 佐賀市
羽田を朝7時に飛び立ち、機内でぼんやりとコーヒーを飲んでうたた寝しているうちに飛行機は降下をはじめた。
目的地はそう、佐賀県だ。
バスで佐賀駅まで向かい、タクシーに乗る。
向かう先は KOMOREBI だ。
友人が言っていた。「佐賀まで行くなら、ここは外せないよ」
彼は普段から決して変に誇張したり大げさに褒めたりすることのない男だ。僕は彼の言葉を信用することにした。
その言葉が偽りでない事に気付くのに時間はそう必要なかった。
清潔に保たれた館内。何よりも湯がいい。手を沈めると、まるで薄いヴェールに包まれるようなぬるりとした感触がある。
しばらく湯に浸かりながら、静かに呼吸を整える。
いよいよお楽しみのサウナ室だ。入り口には「ISO SAUNA」と書かれている。
ISO とは、フィンランド語で「大きい」という意味らしい。
実際に入ってみると、確かに大きい。座る場所はいくらでもある。
僕はふと「この広さに対して、サウナヒーターが足りないんじゃないか…」と思った。
決して温度が低いわけではない。ただ、もっと密度のある熱がほしい。
端にもう少し小さなヒーターを置けば、より完璧になるのに…
11時半になると、スタッフによるアウフグースが始まった。
タオルが舞い、熱波が送られてくる。動きはなめらかで、まるで一つのパフォーマンスを見ているようだった。
それでも、肝心の熱が少し足りない気がした。
僕は熱波が全身に降り注ぐのを待ちながら、「もう少し、あと少しだけ」と思う。
熱は、いつも足りないくらいがちょうどいいのかもしれない。
このサウナ室には、プロジェクターがあった。
壁にテレビが映し出され、大画面で何かの番組が流れている。しかも、二画面だ。
こんなものがあると、いい意味でも悪い意味でも見入ってしまう。
じっくり汗をかく。10分、3セット。
水風呂は大きく、深い。
僕は手足を水面から出し、後頭部だけを沈めて、ラッコのように浮かぶ。
この入り方が、僕にとって一番しっくりくる。
サウナに通うようになってから、手足が冷えやすくなった。
けれど、こうしてじっくりと水と向き合う時間は嫌いじゃない。
サウナを終えた頃には、空腹を感じていた。
移動するのも億劫だし、施設内のレストランへ入ることにした。
メニューには「佐賀牛使用」と書かれていた。
せっかくだからと、佐賀牛のキーマカレーとハンバーグを頼む。
僕はそれを静かに食べながら、ぼんやりと本来の目的を思い出した。
らかんの湯。
贅沢なサウナハシゴ旅だ。
夜になれば、佐賀の風景もまた違って見えるだろう。
僕はその変化を楽しみにしながら、目の前の食事をゆっくりと味わった。
コメントすることができます
すでに会員の方はこちら