公衆浴場のもうもうと湯気のたちこめたなか-その湯気は天窓からさしこむ夕日の赤い光をうけて、幾先の粒になって光っていたが-彼のすきな庶民的生活感にひたりながら江頭淳夫氏は、あの黒と茶を多くつかった陰惨なポートレイトを書き直すことを計画していたのだ。
彼は、その時、幸福であった。その幸福感の大部分を、快い入浴と、適当な空腹感に負うていたにせよ、
とにかく幸福であった。
(江藤淳「行動特徴」あとがきより)

ゆったりとしたリクライニングチェアに身を沈めつつ、
読みかけの本のページをめくってはまどろむことを繰り返す。
こんな休日も悪くない。

湯っぷるの大浴場には、午前のやわらかな太陽光が湯気を輝かせていた。
一直線に光の道がさしこんでおり、心地よい湯につかりながらその様を眺めていると、えもいわれぬ気分になった。
快い入浴と適当な空腹感、そして幸福感。

湯に入り、サウナに入り、澄んだ空気を大きく吸い込む。
そして気ままに休憩室でうたた寝をしつつ、本を読む。
これ以上、何が必要だろう。

丸亀製麺小浜

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