和合の湯
温浴施設 - 静岡県 浜松市
温浴施設 - 静岡県 浜松市
昼食も兼ねて、ふらりと和合の湯へ向かった。
入口を抜けると、まず浴室へ、とはならないのが和合らしいところだ。恒例となりつつある“運試し”をしに、館内のスロットゲームコーナーに寄り道をする。1000円札を機械に差し込み、じゃらじゃらと100円玉へと両替される音を聞くだけで、なぜか少し気持ちが高揚する。1000円分をすべて投入し、レバーを引き続けた結果、手元にはメダル23枚。上出来と言っていい数字だろう。ちょっとした勝負であっても、結果が良いと姿勢までしゃんとする。
そして訪れる“運命の交換タイム”
メダル2枚でガチャガチャを1回回せるこの仕組みが、ちょうどいいワクワク感を生む。
メダルを握りしめ、ひとつずつハンドルを回す。コロンと落ちてくるカプセルの音が、まるで子どもの頃の思い出を呼び覚ますようで妙に楽しい。カプセルを開けていくうちに、気分はさらに上がった。入浴券が5枚、食事券が6枚。これだけ出れば「充分元は取れた」と胸を張って言ってよい。
ただ同時に、聞こえてくるのが“悪魔の囁き”
「もう少し回せば、もっと当たるかもしれないよ」と、あの誘惑の声がそっと背中を押してくる。だがそこで踏みとどまるのが大人の嗜み。勝ち逃げこそ美学である。今日はすでに十分すぎる成果を持っているのだ。ここで引くことで、勝利はより美しく記憶に残る。
気を取り直して浴室へ。まずは炭酸泉に身を沈める。細かな泡が肌にまとわりつき、スロットの余韻で少しだけ高ぶった心を静かに落ち着かせていく。炭酸泉はまるで「よかったね」と言ってくれるように優しく、じわじわと身体の芯を温めてくれる。
続いてサウナ室へ向かう。和合の湯らしい昭和ストロングな熱気が、今日も真っ直ぐにこちらへ迫ってくる。木のベンチに座れば、さきほどまでの“ガチャの興奮”がゆっくりと汗と共に流れ出し、ただ熱に身を委ねる時間が始まる。サウナは本当に不思議で、どんな気分の日も最後には心を整えてくれる。“勝った日”のサウナは特に格別だ。
しっかり蒸されたら水風呂へ。足先を入れた瞬間、キレのある冷たさが全身を一気に引き締める。この瞬間がたまらない。冷たさに包まれながら、ふと「今日は本当に運が良かったな」と思える。メダル23枚、ガチャ11回分の喜び、それらがすべてこの清涼感と混ざり合い、深い一息へとつながる。
そして露天で外気浴。冬の風がそっと頬を撫で、温と冷を繰り返した身体がふわりと宙に浮くような心地よさに包まれる。ガチャで得た幸運も、サウナで流した汗も、水風呂の衝撃も、すべてが一日の物語として静かにまとまっていく。
ととのうとは、こうして日常の小さな出来事をひとつの風景に仕上げてくれる営みなのだろう。
以上
男
満足です
ありがとうございます。これで勝ち逃げすれば儲け物なのに、また和合に行くとやってしまうんですよね…。
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