GREENITY IWATA
ホテル・旅館 - 静岡県 磐田市
ホテル・旅館 - 静岡県 磐田市
連日の猛暑に、カレンダーの「夏」という文字が、だんだん「煉獄」に見えてきた。
土曜日の午前だというのに外に出た瞬間、空気が体にまとわりつくような重さで襲いかかる。
気温はすでに34℃を超え、天気予報は「今日は最高気温37℃」と軽やかに言ってのける。
エアコンの風もどこか疲れている。こんな日は家に引きこもるのが正解のはずだったのに、私は車に乗っていた。
向かう先はそう。
週末のお楽しみ、磐田のオアシス「グリニティイワタ」
暑さから逃げるのではない。熱へ飛び込んでいく。
どうせ汗をかくなら、サウナでかいたほうがいい。
そんな理屈が、私を動かしていた。
グリニティに着くと、駐車場のアスファルトがじゅうじゅうと音を立てている気がした。フライパンがあれば目玉焼きでも焼けそうだ。
だが、エントランスのドアが開くと、空気が変わる。
涼しい風、アロマの香り、いつも変わらないスタッフの穏やかな笑顔。
私は一歩踏み入れただけで、すでに半分“ととのって”いた。
今日の男湯はDaichi。
黒と直線の空間。重厚な浴室に、すべてを脱ぎ捨てて身を委ねる。
浴室は蒸気に包まれ、静けさが漂う。
しっかり身を清め、まずは黒いモール泉へ。ぬるめのお湯が焼けた肌にやさしく染みわたる。温泉というより、抱かれているような感触。皮膚の隅々まで潤いが届いていく。
ひと息ついてサウナ室へ。
グリニティのサウナDaichiもSoraも共通して無音。テレビも音楽もない。80℃の穏やかな熱に、頻度多めのオートロウリュ。そして木の香りと湿度が心を整える。
聞こえるのは、自分の呼吸と鼓動だけ。外の喧騒や疲れも、すっと消えていく。
じんわりと汗がにじむ。激しくない、静かな汗がじんわりと。
時間が緩み、心の時計がゆっくりと動き出す。この感覚が、サウナの魅力のひとつ。
いい頃合いで水風呂へ。地下水の17℃前後が、肌をきりっと引き締める。熱がすうっと抜け、身体の芯が整っていく。ただ、「気持ちいい」だけが残る。
外気浴は今日はやめた。
外は37℃。地球がサウナを演出している。代わりに浴室内の椅子で目を閉じる。湯の音、足音、それだけで心が沈んでいく。
仕上げにもう一度モール泉へ。黒い湯に浸かりながら、今日という一日までも、湯に溶けていくような気がした。
帰り道、車内はまたサウナ。
でもさっきまで80℃の静寂を味わった私にとって、それは“前座”のようなものだった。
汗をかきながら運転する体は軽く、心は静かだった。
熱と静けさのバランス。
グリニティイワタの80℃が、今日の猛暑をやさしく受け止めてくれた。
グリニティよ、ありがとう。
今日も暑さの中で、静かにととのった。
以上
男
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