美肌の湯 ロマネット
温浴施設 - 長野県 岡谷市
温浴施設 - 長野県 岡谷市
長野県岡谷市。諏訪湖の北側に、「美肌の湯 ロマネット」という名の温浴施設がある。
名前の由来は、ローマと熱湯を掛け合わせた造語だという。
正直に言って最初は少し胡散臭く聞こえたけれど、行ってみれば、そのネーミングセンスも妙に愛しく思えてくるから不思議だ。
この物価高の時代に、大人ひとり600円。
ここに来るだけで、すでに勝利した気分になる。
建物は年季が入っているけれど、掃除が行き届いていて、どこか家庭的な安心感が漂っている。人の手で丁寧に守られてきた場所には、時間だけでは生まれない温もりがある。訪れるたびに、“生活の中の贅沢”という言葉が浮かんでくる。
まるでドームのような形をした洋風な浴室。
ステンドグラスもあったりして、ちょっと独特な雰囲気。
どこか異国の温泉にでも迷い込んだような、そんな錯覚さえ覚える空間だ。
中央に構える円形の湯船には、赤褐色の源泉が惜しみなく注がれている。
モール泉とはまた違う、やや鉄を感じさせる赤い湯。湯に手を入れれば、指先にトロリと絡みつくような質感がある。
少し熱めで、じわりと肌を撫でる。しばらく浸かっていると、肌がつるりと変化していくのが分かる。まさに“美肌の湯”の名に偽りなし。
さて、サウナ。ここがまた素晴らしい。
3段のベンチがL字型に広がり、収容人数にもゆとりがある。
室温は96℃としっかり熱いが、20分おきに落ちてくるオートロウリュの蒸気が、室内を程よく潤してくれる。
テレビがないのも嬉しいポイントだ。耳に入るのは控えめな音量で流れるJ-POP。
昭和歌謡でも演歌でもなく、ちょっと懐かしい平成のポップス。だけど浮いていない。むしろ優しく心をほぐしてくれる。
しっかり蒸されたら、水風呂へ。
こちらも期待を裏切らない。冷たい、けど痛くない。その境界線をうまく突いてくる温度。
循環が良いのか、水の鮮度が高く感じられ、入った瞬間に身体の輪郭がキリリと立ち上がる。ここで一気に目が覚める。
仕上げは外気浴。
浴室から出た所にある中庭のような場所。見上げれば青空が広がっている。
今日は快晴、雲ひとつない青空。ごく稀に、こういう完璧な空がある。
何も足すことも、引くこともできない景色。その下で、ただベンチに座るだけ。
言葉も、思考もいらない。ただ身体と空を繋げて、ひととき漂っていればいい。
旅の途中、こんな場所に出会えると、人生って案外悪くないと思えてくる。
高級感なんてどこにもない。でも必要なものは全て、ここにある。
ロマネット。
それは派手さとは無縁の、心にじんわり染みてくるような施設だった。
名前はやっぱりちょっと変だけど、今日の空のように、少しだけ惚れてしまったかもしれない。
以上
男
水風呂のシャワー、確かに水圧凄かったです!おかげで全身の汗が一気に流されました。 テンホウのソフトクリームはノーマークでした!今度はテンホウオリジナルタオルの購入も合わせてチャレンジしてみます!
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