GREENITY IWATA
ホテル・旅館 - 静岡県 磐田市
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快晴の土曜日。
空は青く、雲は仕事を放棄したかのようにどこにもいない。そんな空を見上げながら、私はまた車のハンドルを握っていた。
向かう先はそう。
いつもの“グリ様”ことグリニティイワタである。
「いや、週末のたびに来てるじゃん」
と脳の片隅で常識がささやくけど、それをかき消すように聞こえてきたのは、遠くから響く蝉の声。
ミーンミンミンと熱気を煽るBGMが、すでに“夏のサウナモード”に突入していることを告げている。
これはもう、体を蒸し上げに行くしかない。
駐車場に車を滑り込ませると、サウナ好きらしき男たちが、なぜか皆ゆっくり歩いている。焦っても仕方がない。どうせ、あの無音の熱室は逃げはしないのだ。
受付を抜け、男湯の表示に目をやると「Daichi」の文字。
ああ、今日は黒の日か。黒の誘惑、そして重厚なる癒し。
脱衣所で服を脱ぎながら、うっすら“期待”が浮かんでいる。
初恋前の中学生みたいな顔だったと思う。パンツ一丁でテンション上げてる大人もどうかと思うが、ここでは許される。
なぜなら、ここは“楽園”だから。
香りの良い石鹸で身を清めて、まずは露天の黒いモール泉。
ぬるっとした肌触りがたまらない。浴槽の底が全く見えない。見た目はコーヒーそのもの。
入ってみれば、じんわり優しい熱が芯まで届く。
遠くでまた蝉が鳴く。
「こんなに熱いのに、なぜお前は鳴くの?」
そんな哲学的な問いすら湯気と共に立ち上っていく。
お次はメインイベント。無音のサウナ室へいざ。
誰かの笑い声も、誰かの失言も、ここでは聞こえない。あるのは熱と湿度と自分の呼吸音のみ。
80℃の優しい熱が、ジワジワと全身を包む。まるで熱々のシュウマイになった気分だ。
いいぞ、もっと蒸してくれ。
限界まで蒸されたあと、地下水の水風呂へ。
肌にぴたっと吸い付く水の柔らかさ。思わず「わぁ。」と小さく叫ぶ。
露天スペースでは、蝉の声が再び響いていた。
まるで「よくぞここまで来た」と褒めてくれているかのよう。
ありがとう蝉くん、君の鳴き声がBGMなら、外気浴はまるで夏の映画のクライマックス。
ぼんやりと風に吹かれながら思う。
「Daichiって、静かで、黒くて、でも深いんだよな」と。
まるで心の深層を覗いてくるような空間。サウナって、ただ熱いだけじゃない。
そこには性格がある。
Soraが天真爛漫な恋人なら、Daichiは無口だけど頼れる年上の包容力だ。
帰り道、蝉の鳴き声が少しやさしくなった気がした。
いや、きっと私の心が、ちょっとやわらかくなっただけかもしれない。
ありがとう、グリ様。
また来週も来るかもしれない。
蝉くんよ、その時はまた歌っておくれ。
以上
男
「蝉くんよ、その時はまた歌っておくれ」 この一行に7(セ)3(ミ)トントゥ( -`ω-)b
73トントゥも!ありがとうございます!
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