ヒャダ

2025.05.05

21回目の訪問

サウナ飯

浜松祭りの時期は、どこかそわそわした空気が街に漂い始める。
ラッパの音が遠くから聞こえ、あちこちで法被姿の人が忙しそうに動き回る。毎年この風景には慣れているけれど、どうもあの熱気にはついていけない。
祭りの音に心が躍る人もいれば、そっと離れて静けさを求める人もいる。私は明らかに後者だ。

だから今日も、磐田市のグリニティイワタに足を運んだ。
もう特別な場所というより、身近な存在。玄関を抜けると、肩の力が自然と抜ける。特別な目的があるわけじゃない。ただ、静かに過ごせる場所。それがここにはある。

浴室に向かう途中、すれ違う人もどこか落ち着いた雰囲気だ。派手さはなく、ざわつきもない。それが嬉しい。

今日も変わらず、真っ黒なモール温泉が湯船を満たしている。最初の頃はその色に驚いたけれど、今ではこの黒さに安心感を覚える。源泉掛け流しのお湯は柔らかく、じんわりと身体に染み込んでいくようだ。肌を包むその感触は、何度体験しても新鮮で、心の奥がすっと静かになっていく。

今日は疲れていたわけじゃない。でも、あの祭りの熱気から離れたくてここに来た。身体のため、というよりは空気のために。騒がしい場所にいると、自分の輪郭がぼやけてしまう気がして、こうして静かな時間の中で自分を確かめたくなる。

サウナに入ると、いつものようにテレビも音楽もない静寂が待っていた。湿度のある78℃。熱すぎないけれど、確実に汗が出てくる。
じっと座っていると、聞こえるのは自分の呼吸と、木の香りと、ストーブが鳴らす小さな音だけ。音が無いことの贅沢さを、ここに来るたびに思い出す。

水風呂も変わらず心地よかった。
地下水の柔らかさが肌にすっと馴染んで、余計な熱をやさしく取り除いてくれる。刺激が少ないぶん、長く浸かっていたくなる。これだけで整ってしまいそうな、そんな水風呂だ。

外気浴のベンチに腰を下ろすと、今日は風が気持ちよく吹いていた。耳を澄ますと、遠くの車の音がかすかに聞こえる。その現実感がむしろ落ち着く。自然の中にいるわけじゃない。
ただ、静かで、ちゃんと息ができる場所。それが今の私にはちょうどいい。

何度来ても飽きないのは、ここが変わらないからだと思う。
空いていることも多く、誰もが静けさを壊さないように過ごしている。そういう暗黙の了解のような空気が、この場所にはしっかりとある。

祭りの活気に背を向けたことに、後ろめたさはない。
にぎやかさに心が躍る人がいれば、静けさに救われる人もいる。私は、ただ少し音を遠ざけたかっただけ。

湯上がりに髪を乾かしながら鏡を見ると、ほんの少しだけ顔が緩んでいた。来てよかった。
また来よう。祭りの季節じゃなくても、ふと思った時に。

以上

ヒャダさんのGREENITY IWATAのサ活写真
ヒャダさんのGREENITY IWATAのサ活写真
ヒャダさんのGREENITY IWATAのサ活写真

布橋みやひろ

チャーシューワンタンメン

浜松を代表する中華そばの名店。此処のチャーシューワンタンメンは絶品です。

サウナ飯 supported by のんあるサ飯

  • サウナ温度 78℃
  • 水風呂温度 16℃
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