2023.02.15 登録
[ 北海道 ]
現時点での今どきを形にするとこうなる、というホテルで、この5年くらいのあいだに開業したホテルは軒並みこのようである、というホテル。
ようするにいま行って泊まると大変よい、しっくりくる。新しいし、きれいだし、清潔な気分になる。
裏を返して意地悪をいえば5年後はわからない。10年後はもっとわからない。
「なんだかまえとちがうな」「まえはこんなだったかな」
乗ったエレベーターがどうもうすぼんやりしている。部屋に入っても清掃が行き届いていない。そんな印象を受けるようになっているかもしれない。
だがともかく令和5年のいまのいま行ったなら、たいへんよろしかった。なによりも安い。ひとりあたま5、6000円でこれだったら文句はあんめえ、といったクオリティだ。
サウナは夜と朝と2回入った。
夜はチェックインが遅かったのもあるが、22時過ぎに入った。ホテルのサウナによくあることだが、びしょびしょのマットはとっちらかって交換された形跡もない。これはもう割り切るほかない、という気分。そこは目をつぶってみれば、TTNEプロデュースだけあって湿気高めのサウナ室はあっというまに汗をかく。セルフロウリュをすると瞬間的にかなり高温になってなかなかよい。TTNEらしく時計も置いていないが、ガラス越しに時計が見えるので時計必要だよという人もさして困ることはない。席は2段あるが、1段目は一応というかそれなりというか、2段目に座った人が足置いたらすわれないっす、という程度の面積。私が入った時間帯はサウナ室は常時3、4人といった感じで困ることはなかったけれども、もっと混んでくると困った感じになるのかもしれない。
そして水風呂はない。シャワーで冷水を浴びるしかない。これはどうか、というポイントだが、今回はまったく問題なかった。なぜならこの時期の札幌の夜は適度に冷えていた。おかげでシャワーで冷ました程度でもじゅうぶんにととのった。(そもそもシャワーをずっと浴びるのも意外と冷える。考えてみれば滝行のお試し版といったところであり、滝行のつらさをほんのちょっと体験できた、という程度には体は冷えた。)
朝は6時からで、6時ちょっと過ぎに行ってほぼ一番乗りといったところだが、すぐに3、4人がサウナ室に入ってくる。朝一番でとうぜんサウナ室内のマットもまっさらで気分がよい。外気浴エリアでぼーっとしていると、活動を始めつつある街の行き交う車の音が13階のここまでのぼってきて、目が覚めてくる。さくっと2セットこなして朝飯を食いにいった。
わざわざここを目的に来ることはないが、札幌に泊まる予定があればトータルで有力候補にはなる、そんなホテルだった。
[ 神奈川県 ]
休憩スペースのストーブに火が入っていた。今週はめっきり冷え込んでいるので今日から点けたのだろうか。
先日訪れたゆいるでも、アウフグースの際に「今日から中温サウナの温度設定が80度から85度に変更になっております」と案内があった。
福美湯はいつも平日の開店早々に行くので混んでいるということはないのだが、サウナ室の雰囲気には日によって微妙なぶれがある。今日はいくらか「我が物顔」の常連が多かったかもしれない。すこしサウナ室の雰囲気がだれていた。こんなときは一緒になって「我が物顔」になるのもひとつだし、人はともかくてめえは行儀良くふるまうのもひとつだ。
休憩スペースでととのっていると、おじいちゃんがドライヤーでお尻のわれめをブローしはじめた。吸い込むんじゃないからまあいいんだけど、と思いながら横目で眺めていた。
今日はロングセッションを2セットでばっちりととのった。福美湯の水風呂は水温は14度ないしは15度はあるのだが、どこの水風呂よりも冷たいと感じる。
[ 神奈川県 ]
常連というほどではないが定期的には通う店がある。ラーメン屋なら吉村家、とんかつなら勝烈庵。メニューからなにを注文するかは当然として、所作振舞いの細々にいたるまでみずから細目を立てそのいちいちを実行していく。ようは自動化、オートマティズムを己に強いる。いずれの店もある時期に通い詰めた経歴があり、そのときにそのような細目が自然にできあがっていった。常連ではなくなったいまも痕跡として残っている。犬が散歩のコース上の決まった電信柱でちゃんちゃんと脚をあげるというようなもので、たんにそうすれば落ち着くという話である。
サウナであれば川崎区のゆいる、港北区の福美湯。どちらもホームサウナといって憚らない。このふたつのサウナに行ったときは下足箱から始まって店を出るまで、いちいちの所作はすべて自動化されている。行く曜日と時間からして決まっている。そこが決まっていれば客層も客足も大きな変化はない。こちらのふるまいの定常性を許容してくれるのは施設の側が定常的にふるまってくれるからだ。
今日もまた炭酸泉に入ってからサウナを3セット、しっかりとととのった。サウナ室で座る場所もおなじなら、脱衣所の外気浴スペースですわる場所もおなじ。
年々歳々、歳をとるにつれ、このおなじであるということの価値をかみしめている。ホームサウナのありがたみ、福美湯のありがたみ。しみじみと素晴らしい施設。