柴田温泉
銭湯 - 愛知県 名古屋市
銭湯 - 愛知県 名古屋市
「指定したものと違う」
そうお客様から指摘された。それは、全ての作業が完了したあとのことだった。
自分はかなり動揺した。意味不明すぎてここが童謡の世界かと思った。今まで同様のこともなかった。
なぜなら全てお客の指定した通りに作業し、指定した物を納めたつもりだった。つもりだったというか実際にそうだった。
コイツにメラゾーマを放ちたい。
お客様ファーストで仕事を労していた今までの自分と正反対の思想がでてきた。
自分に明らかに非があるミスなら何回だって謝るし、何回だって反省する。
しかし今回は違う。コイツが悪い。
この喉元に張り付く餅のような焦燥感を拭い去るため、俺はサウナにルーラした。
今日訪れたのは、柴田温泉。
名古屋市南区の名鉄柴田駅の近くにある銭湯だ。
この付近は飲み屋やエッチな店が立ち並ぶ騒がしいエリアで、夜に放たれた吐瀉物が朝日を浴びて輝かしい風景が広がる。
のれんをくぐると、現れたのは飲食コーナー。
銭湯にしては、珍しいサウナ飯が食べられる銭湯なのだ。
ちょうど腹の虫はコオロギを通り越し、ティガレックスの咆吼くらい鳴っていた。
しかし、今はまだ我慢。ティガレックスはサウナ後に食う飯の旨さを知っていた。
脱衣所には、中央に木のベンチがライブ中のSMAP木村のように堂々と君臨していた。
「さぁここで整いな」
そう聞こえる。
浴槽で体を清めたあと、サウナ室へ。
明らかに他のサ室と違う。
ベンチ右上にあるTV、スペースの割に明らかに大きいサウナストーブ。
温度計は105度を超えていた。灼熱だ。
ベンチは下段と上段あるが、下段の方がモロにストーブの熱を受けるので、上段の方が体感は涼しく感じる。
そんな空間でしっかり汗をかいた後、水風呂へ。
水深は80cmほど、正面のプチ滝口から流れている音を聴きながら肩まで浸かる。ナイスヒーリングミュージック。オッケーグーグル。
そして外気浴へ。ここは銭湯なのに整いスペースがしっかりある。椅子は4脚。えっ神?
外からサウナ室が見え、そこから宇宙船のような丸い窓が後ろについていることに気づく。
ここはサウナ室ではなく、スペースワールドだったのか。
なるほど整わないわけがない。
スマホアプリから土曜から始まった中日ドラゴンズのオープン戦の結果が流れてきた。
根尾お前センターで起用されたのか
俺は泣いていた。
整ったあと食堂でコロッケ定食を食べたら怒りのことなど全て忘れていた。
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