2020.02.02 登録
[ 東京都 ]
サウナ室というのは閉鎖的な空間なので、窮屈なイメージを持っていた。
でも実際はそんなことはない。
自分が思っていたより自由だった。
今日も梅の湯に訪れた。
土日と定休日の月曜日以外ほぼ毎日足繁く通っている。
梅の湯の番台メンバーはなぜかイケメンが多い。
今日の番台はメガネをかけた髭のダンディーだった。僕はこの御仁を
「江戸時代に武器屋を営んでそうなイケメン」と呼んでいる。
話したことはもちろんないが、心の中で。
武器屋にお金を払い、いつもの脱衣所へ。
今日は子供連れが多いなぁ〜と思いながら浴場に入る。
体を清めてから、サウナ室を覗く。定員は3人まで
おっ2人しか入っていない。ラッキー。
早速ドアを開けて中に入る。しかし3人いた。上に。
男が椅子に立ちながらサウナに入っていたのだ。
いやなぜ??!
地面ではなく、椅子の上である。なので天井すれすれに顔がある。
暑いだろ?!!!!!!なんでだよ????????
ええええええ。
とりあえず謝ってドアを閉じた。
今まで色々なスタイルのサウナーを見てきた。
座禅を組むもの、頭にタオルを被るもの、背を正面に向けるもの。
しかしこれは初めてだった。
椅子の上で直立不動スタイル。
その立ち姿は、恥ずすべきことなど1mmもないと言わんばかりに堂々たるものだっった。
私はこのサウナースタイルを「戦死した白ヒゲ」と呼ぶことにした。
とてつもないものを見てしまった。
立って入ることによって更なる暑さを求めているのだろうか。
一体なぜ彼はこのスタイルを・・・????
いつから??????
謎ばかりである。
なんて自由で奥深いのだろう、サウナ。
これだからやめられない。
ただこれだけは言わせて欲しい。
白ヒゲもさすがにサウナには座って入るのでは・・・・・・?
と
ー完ー
[ 東京都 ]
「なんやねん湯どんぶりって。」
これが最初に聞いたときの反応だった。
天然温泉 湯どんぶり栄湯。
天然温泉 で 湯どんぶり で 栄 である。
元名古屋人は「栄」と聞いたらオアシス21か初見殺しの名古屋高速「新栄」の入り口を思い出すのでは。がここは東京。
Twitterでオススメの情報を得て突入してみることにした。
尋ねてみてビックリ。こんにちわ東京スカイツリー。
こんな近くにデケェ塔があるのに見向きもせず銭湯に入った。
番台で靴箱の鍵と引き換えにひっかけ棒をもらう。
これはサ室で明日1限がどうのこうの騒いでる若者の目をエグり取るのに使うのか?と思った方もいるだろうがそれは違う。
このひっかけ棒をドアにかけて開けるというシステムなのだ。これにはソクラテスも腰を抜かすだろう。
サウナ室に入ると、驚いたことが2つあった。
美しく煌めくサウナストーブと全員タオルでサ室カラーギャングのように口元をタオル覆っていることだった。
サウナストーブは伝説のクリスタルだとして、このカラーギャング現象はいったい・・・・。
と思っていたらどうやらコロナ対策でタオルを口元でマスクのようにするのがここのルールらしい。入り口の案内文をよく読むとそう書いてあったが、知らずに入って怒られている若者もいた。でもたしかにこれは初見だと分からん人いるかも笑
そしてサ室の伝説のクリスタルだと思っていたのはヒマラヤ岩塩だったようで、通常のサウナよりもデトックス効果が高いそう。えっここ本当に銭湯?????
いつもよりしっかり汗かいたら隣のレインシャワーへ。
ショーシャンクの空に。
露天スペースにあるベンチからスカイツリーが見える。
あぁ俺は東京にきたんだ。そう思いながら整った。
銭湯サウナは徒歩での帰り道も重要だ。
とぼとぼと歩きながら、外気浴を楽しむ。そしてここは風情ある下町。
最高すぎる。と思いながらあるいていたら警官に職務質問された。
銭湯カゴを持っていて、あきらかに銭湯帰りなのに職務質問されるのか。
こいつら警官のセンス0。はやく転職しろやカス。
などと思うのはよくない。
逆に職務質問外気浴ができたと思ってポジティブに考えることにした。
湯どんぶりというのは、丼物のようにいろいろな種類の湯船が楽しめるようにつけた名前らしい。
いろんな人が分かり合う世界がきたら、、、湯どんぶりみたいに。土台無理か。
ー完ー
[ 東京都 ]
この世は需要と供給で成り立っている。
野菜が売れれば売れるほど、八百屋は野菜を仕入れるし、
天ぷらが欲しい客が来ればくるほど、店主はエビを揚げる。
24時間テレビが放送されればされた分だけ加山雄三もサライを歌うのだ。
しかし、その理が通じないものがある。
男のケツである。
需要が0。供給過多。
もちろんこれはあくまで自分のことだけであり、男のケツが好きだという人もいる。ただ自分の中では0だ。
今日の銭湯は平日にしては珍しくかなり混んでいた。サウナにはなんと待ちが。
落ち着いて聞いて欲しい。
今から入ろうとしているアトラクションはサウナであって、プーさんのハニーハントではない。にもかかわらず待ちが。
なぜこんなにも混んでいたかというと、若者の集団が大量にいたからだ。多分学生グループ。しかも運動部なのか全員超恵体。
そのあまりに鍛え抜かれたケツに思わず2度見してしまった。すっすげぇ・・・・・
同じ浴槽で楽しそうに話していたので聞き耳を立てたら「推しプロテインは何か?」だった。プロテインはアイドル?
待ちがあるとはいえ、回転率はいい。早速サウナへ。
やっぱり梅の湯のサウナは最高だ。
TVもなく、コロナ対策でおしゃべり禁止のサウナ室は、誰にも邪魔されることなく楽しめる。
待ちの人のことも気にしつつやや早めにサウナ室を出て水風呂へ。
体を拭き露天の方に行き歩みを止めた。
学生が占拠していてとてもととのい椅子に座れる雰囲気ではなかったのだ。
少し驚いたが、別の場所でゆっくり休憩した。
でもいいんだ。別に大声で騒いでいるわけじゃないし。
俺はいつでもサウナにこれる。
でも彼らは違う。
みんなで銭湯なんて社会人になってしまったら穏やかに、だが確実に無くなっていく。
だからいいんだ。
サウナで心まで整った俺の頭の中にふと曲が流れた。
桜吹雪のサライの中へ
いつか帰る。いつか帰る。
きっと帰るから。
ー完ー
ほぼ毎日通っていますが、こんなことは稀なので安心して行きましょう。
[ 東京都 ]
この日のサウナはいつもと一味も二味も違う。
自粛明け2ヶ月ぶりのサウナ。名古屋から東京に居を構えて初めてのサウナである。
名古屋から引っ越す際
「どうせサウナ入りに銭湯行くんだから風呂なくてもいっか〜」
という安直な考えで部屋決めをした。それは愚かだった。
突然だった。コロナウィルス。大好きだった。先生方。友達と泊まった。修学旅行。
銭湯はサウナを自粛。なんて最悪で災厄なタイミング。
中学生のときに志田未来のコラ画像をGoogleで調べていたら母親に偶然見つかってしまったのを刹那に思い出させた。
それから2ヶ月間。サウナを我慢した。
これほどまでにサウナに行かなかったことなどなかった。
もはや体は限界。緊急事態宣言が解除されてから常に近所の銭湯サウナ情報をエゴサーチしていた。
そして遂に終に
梅の湯サウナ平日だけ解禁ンンンンンンンんん!!!!!
オラァァァッァァッァァ!!!回数券購入ぅぅぅぅぅ!!!!!
細かい感想は今日はとりあえずいい!!!
サウナIN!水風呂GO!外気浴!!!!
うぁぁっぁあぁ!!これこれ!!!
ありがとう梅の湯!!!ありがとう!!!サウナ!!!!
今の俺にサウナがある未来が帰ってきた。
中学生の俺に志田未来があったように
ー完ー
[ 愛知県 ]
「指定したものと違う」
そうお客様から指摘された。それは、全ての作業が完了したあとのことだった。
自分はかなり動揺した。意味不明すぎてここが童謡の世界かと思った。今まで同様のこともなかった。
なぜなら全てお客の指定した通りに作業し、指定した物を納めたつもりだった。つもりだったというか実際にそうだった。
コイツにメラゾーマを放ちたい。
お客様ファーストで仕事を労していた今までの自分と正反対の思想がでてきた。
自分に明らかに非があるミスなら何回だって謝るし、何回だって反省する。
しかし今回は違う。コイツが悪い。
この喉元に張り付く餅のような焦燥感を拭い去るため、俺はサウナにルーラした。
今日訪れたのは、柴田温泉。
名古屋市南区の名鉄柴田駅の近くにある銭湯だ。
この付近は飲み屋やエッチな店が立ち並ぶ騒がしいエリアで、夜に放たれた吐瀉物が朝日を浴びて輝かしい風景が広がる。
のれんをくぐると、現れたのは飲食コーナー。
銭湯にしては、珍しいサウナ飯が食べられる銭湯なのだ。
ちょうど腹の虫はコオロギを通り越し、ティガレックスの咆吼くらい鳴っていた。
しかし、今はまだ我慢。ティガレックスはサウナ後に食う飯の旨さを知っていた。
脱衣所には、中央に木のベンチがライブ中のSMAP木村のように堂々と君臨していた。
「さぁここで整いな」
そう聞こえる。
浴槽で体を清めたあと、サウナ室へ。
明らかに他のサ室と違う。
ベンチ右上にあるTV、スペースの割に明らかに大きいサウナストーブ。
温度計は105度を超えていた。灼熱だ。
ベンチは下段と上段あるが、下段の方がモロにストーブの熱を受けるので、上段の方が体感は涼しく感じる。
そんな空間でしっかり汗をかいた後、水風呂へ。
水深は80cmほど、正面のプチ滝口から流れている音を聴きながら肩まで浸かる。ナイスヒーリングミュージック。オッケーグーグル。
そして外気浴へ。ここは銭湯なのに整いスペースがしっかりある。椅子は4脚。えっ神?
外からサウナ室が見え、そこから宇宙船のような丸い窓が後ろについていることに気づく。
ここはサウナ室ではなく、スペースワールドだったのか。
なるほど整わないわけがない。
スマホアプリから土曜から始まった中日ドラゴンズのオープン戦の結果が流れてきた。
根尾お前センターで起用されたのか
俺は泣いていた。
整ったあと食堂でコロッケ定食を食べたら怒りのことなど全て忘れていた。
[ 京都府 ]
「今から京都に行ってくれ」
業務終わり上司に言われた。名古屋から京都までは2時間くらいかかる。
私をスキーに連れてってみたいなノリで言われても困るのは私だけではないだろう。
心の中の広瀬香美に問いてみた。
「今から京都いくのだるいよね?」
「サウナの梅湯」
そうゲレンデの女王は呟いた気がした。
川を背に中に入ると番台には若い男女が2人立っていた。
ジャイアント馬場が新潟県三条市出身であることが常識のように、銭湯の番台というのはご高齢の方が多いのが常識だ。でも接客は素晴らしかった。
中に入ると、脱衣所のロッカーの「26」番のロッカーの鍵を返してくださいという張り紙が貼ってあった。やっぱフロって読めるからかな。そう思いながら浴場に入る。
「えっなんかヴィレバンみたい」
浴室の壁には、注意書きが数多く貼ってあった。
でもぶっきらぼうな注意書きではなく、周りをマッキーで囲んでいたり、文の選び方にどことなくセンスを感じる。
又、壁に梅湯新聞という手書きの新聞が貼ってあり、お風呂に入りながら読むことができる。中の記事は「京都の投票率が悪いので銭湯に行こう」という真面目なものから「モンハンが面白いです」という生活感溢れる記事まで。
サウナは110度を超えるカラカラ系高音サウナで7〜8人が入れるかな?というサウナ。
テレビはないが、3軒目のバーでしか流れないような音楽が流れている。
中ではおっさんが、若い頃はサウナに20分は入れたという武勇伝を語っていた。
ジャズな音楽におっさんの武勇伝は、刺身を肴にドクターペッパーを飲むようなアンバランスさがあった。
大量発汗したあと、天然地下水の水風呂が全てを包み込む。
滝が流れていやがる・・・・、
「サウナ」の梅湯の名前は伊達じゃない。銭湯にしては豪華すぎる水風呂がここの全て。
ととのわないわけがない。
名古屋の銭湯なら風呂上がりに中スポを読んでドラゴンズの近況を知れるのだが、ここは京都。
「根尾、お前今何してる?」
俺は泣いていた。
いつかサウナ好きの彼女ができたら梅湯の話をしたい。
そしたら彼女はこう呟くだろう
私をサウナに連れってって
[ 愛知県 ]
「これからの今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。」
転職活動をして1ヶ月
1次面接をした会社からお祈りメールをもらった
学生時代の就活以来の祈祷だった
まぁあの会社の求める人材じゃなかったってことか
そう自分に言い聞かせるようにした。あの頃とは違い、幾許か歳を重ねた。
俺も大人になった。学生の頃はお祈りメールだけで腹が立っていたこともあった。自分が悪いのに。
卵が余っていたし、チャーハンでも作りましょうかね
キッチンに向かう
気づいたら俺は無表情で卵を素手で握りつぶしていた。
手の間から卵だったものがペペローションのように零れ落ちる。
ヤバイめっちゃイライラする
定型文で人の人生祈ってんじゃねぇよ
何が誠に残念ですが・・・だよ。残念なら採用しろよ。
怒りの思考がしきじの水風呂のように上からブチ落とされてくる。
そうだサウナに行こう。
というわけで
七福湯。
今日は鹿児島県阿久根市の特産品ボンタンを湯に浮かべるイベントを行なっていた。
ボンタンとは甲子園球児の頭ほどあるデカイグレープフルーツのことである。
ボンタン湯仕様になっている暖簾を潜ると、番台に立っているおばあちゃんが
「あんたそんな格好できたの?寒くなかった?」と声をかけてきた。
これが町の銭湯の良さでしょ。
AIがどんなに進化しても銭湯の番台のおばあちゃんの心温まる一言はだせないの。
浴槽に入ると、ナイトプールで漂う童貞のようにプカプカとボンタンが浮かんでいた。
嗅ぐとほのかに柑橘系の香り。The風情。
子供たちもボンタンに大喜び。
それを見て和むおっさん。
やっぱ銭湯って素晴らしい。ここの幸せの構図が全て詰まっている。
サウナに入るとストーブが見当たらない。
格納式サウナだ。ニューウィングに行った時もベンチの中にストーブが格納されていて、神隠しだ、天狗の仕業だ、と心の中で大騒ぎしたがまさかここで出会えるとは。
テレビもないBGMもないサウナだが、それがまたいい。
その方がゆっくりと自分と向き合える。
とかいいながら、それは最初の1~2分だけ。残り10分はひたすらアツいなぁ、、、水風呂早く入りたいなぁとか考えてる。
水風呂をでてすぐに外気浴スペースがある。
銭湯の弱点といえば、ととのい椅子があるところが少ないところだが、ここには確かにあった。存在していた。
バッチバッチにととのったあと帰りの車でニュースでドラゴンズのキャンプの情報が流れてくる
根尾・・・お前スリーベース打ったのか・・・
俺は泣いていた
[ 愛知県 ]
「上記でのご都合はいかがでしょうか。
ご確認・ご検討いただけますと幸いです。
ご多忙の折、大変恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。」
最近こればっかりタイプしてる。
転職活動というのは、非常に面倒くさい。笑けてくる。
金、仕事、人間関係、銭湯までの距離
この中で2つよければ辞めないほうがいい。
と誰からか
聞いたがホントにそうだろうか。
今の会社は人間関係はとてもいい。お金ももらっている方だ。でも仕事がダメだ。3年我慢したがどうしても誇りをもって務めることができない。
でも、お世話になった上司に辞めますというのはツライ。なかなか言えない。
ウェルビー栄にいったら、ゴッドファーザーにヴィヒタで袋叩きにされた原田泰造のようなこのモヤモヤした気持ちを晴らしたい。
そう思い桃山の湯へ駆け込んだ。
桃山の湯の特徴はなんといってもその安さだ。
平日500円
名古屋の銭湯が440円ということを考えるとその安さがわかるだろう。
サウナ室に入るとおっさんが雛人形のように段に並んでいた。おっさんだからといって侮ってはいけない。彼等は歴戦のサウナーだ。
雛人形は宮中の殿上人の装束を身にまとっているが、おっさんは全裸なのに神々しく佇んでいる。ガチリスペクトだ。
水風呂は1面青色のタイルだった。
冷水が青色の器に入っている。
これだけでサウナーならご飯を食べれるだろう。
ととのわないわけがない。
キメにキメたあと、食堂横のテレビを見ていたら中日ドラゴンズのキャンプの様子が放映されていた。
根尾、、、今年は頼むぞ、、、、
そう呟いて帰路につくころには転職のことなど忘れていた。
[ 愛知県 ]
「あなたのことが好きなのか分からなくなった」
そう言われたのは別れの季節には少し早い2月の上旬だった。
付き合っていた彼女にそう別れを切り出され、半笑いの原田泰造に顔面をヴィヒタで叩かれたような今の感情を投げ捨てるため桜台温泉に向かった。
正直盗んだバイクで走り出したかった。
だが、俺の自動車免許では原付しか運転できない。国土交通省を恨んだ。
そしてそれは突如現れた。
平静な住宅街の中にいきなり現れた銭湯。
そういえば彼女との出会いも唐突だったな
と少し笑いながら暖簾をくぐった俺を女将は怪訝そうに見ながらお金を受け取った。
綺麗なロッカーに乱雑に衣類を投げ込みサウナ室に入った。
ああ、、、すごくいい
テレビがない狭い空間が今は救いだった。
流れてくる優しい音楽。
汗を流し、すぐ隣の水風呂へ。
つ、冷たい?!
綺麗で臭みのない水風呂。
このままカルピスを薄めて飲めるのではないか?最高すぎる、、、。
そして脱衣場に座り置いてある中スポを読む。
最高。整わないわけがない。
根尾、、、何回表紙飾るんだよ、、、
俺は泣いていた。
ありがとう桜台温泉、、、
ありがとう原田泰造、、、
俺、、、前に進むよ。
ー完ー