YH

2020.10.01

6回目の訪問

最近気持ちが晴れないと感じる昼下がりの午後、ふらっと近くのコンビニに行く感じで新呑川湯を訪問する。

そこまで人もおらず、いたとしても年配のおじいさんがゆっくり湯舟に使っているだけ。
私は銭湯に来る前にも何故かシャワーを浴びてくる習慣がいつからか身についてしまっているため、すぐにサウナへと入りたいのだが公共の場ということが、私にそれを静止してくれるのだった。

サウナへはいると3人の先客が110度という通常では考えられないよな重々しい空間の中に座っている。
私はなるべく密にならないように、あるいは少しでもこの暑い空間の中で長くいられるように下段に座る。
以前までは演歌や耳馴染みのない歌謡曲が流れていることが多かったここのサウナ室だけれども、最近は80年、90年、00年のJ-POPが流れており、アラサーの私の耳にも違和感なく入ってくるのであった。

5分の砂時計が一回転する間、私の気持ちはすでに水風呂へとうつってしまっていた。本来ならばそのことは考えず、雪解けを待つ草花のようにじっといていたい。しかしここの強烈なサウナはそんなことは許してはくれなかったのだった。

サウナ室のドアを開けキラキラとした水面の水風呂へ入ると、もう一人の自分が生まれたと感じるように、細胞たちが潤っていくのだった。窓から入る白い陽の光も、それが反射した水面も、あの重々しい空間から帰ってきた人たちへの祝福のように感じられる。

そんなどうでもいいことを考えながら、休憩スペースの椅子に腰を掛け、そっとまぶたを閉じる。ふつふつと身体中の血管へと赤血球が流れていくのが感じられる。このときが唯一生を感じられる瞬間である。しばらくすると頭がぼーっとして、何も考えられず、自分を取り巻くありとあらゆることがどうでも良くなってしまう。

ふと目を開けると老人が腕立て伏せをしている。これが歳をとっても健康でいるための秘訣かと思いながら、私は再度サウナへと向かっていく、あるいはサウナが私を吸い込んでいくのだった。

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