2020.01.11 登録
[ 東京都 ]
週末 夜
人出 中
「あのころの君にあって 今の君にないものなんかないさ」
そんなことを叫ぶ歌うたいがいた。
水風呂に浮かんでいるときに彼は僕の頭の中で歌ってくれていた。
そのまま涙を流すには僕はもう年を取りすぎていた。
サウナで寝転び、地下水の水風呂に飛び込み、不思議な外気浴ゾーンで休んでいると
「何も失わずにこれたのかもしれない」と思うことすらできた。
いい水風呂は少しだけ人を感傷的にさせるのかもしれない。
失わずに、奪われずに生きてこれたろうか?
あるいは開いてしまった穴を何かで塞いで、つぎはぎになりながらも、かろうじて、いまここにいるのだろうか?
僕にはわからないけれど、サウナは今日も誰にも奪われずにある。
さあ、帰って、冷えたビールを飲み干そう。
[ 東京都 ]
土曜 夜
人出 少
「何もかもが手に届く距離感の心地よさ」
最近、サウナハットをつけていらっしゃる方を見て、「CIOも時代がきたか?」なんて思ったり。
水風呂に氷を入れられるのも、最高に楽しいので
あとはセルフロウリュをできるようになれば…
中の人…都内にはセルフロウリュできるところが少ないので
それができれば、かなり特筆施設になると思うんですが…!!
[ 東京都 ]
平日昼
人出 中
「何もしないをする」
仕事でタフなことがあった。
自分が完全に悪いこともあれば、納得のいかないこと、歯を食いしばらなければいけないこと。
よくないことが起きるときは、どうしてだか重なる。この半年、満面の笑みになれたことがあっただろうか。
そんなときに友人から「さやの湯処に行こう」と誘いがあった。願ってもないことで、迷うことなく有休を取った。
ドライサウナ、水風呂、塩サウナ、水風呂、外気浴。
ある種のルーティンになっているそんな動きは逆に何も考えずに済む時間を作ってくれた。
サウナに入り、汗を流す。
熱い。
水風呂に入る。冷たい。
外気浴は風が心地よい。次の季節がノックする音すら聞こえる。
ただ、それだけだ。それだけでよかった。愚痴も言わない。何もしないでいいのだ。それはおそらく人類の最も贅沢な時間の使い方の一つだ。
また、サウナに何もしないをしにいこう。
髪を乾かしながら、そんなことを考えていたら、鏡の中の男は少し笑っていた。
「よかったな」と僕はつぶやいた。
「よかったな」と男はつぶやいた。
[ 神奈川県 ]
平日昼
人出 多
「海を見ながらアウフグース! 上段はプロ用だ…」
控えめに言って完の璧です。
アウフグースを最後まで付き合おうとすると、上段は相当やばくなります。
赤坂のオリエンタルレベルです。
「やけどする!」と感じる前に飛び出しましょう。
感動したのは店員さんが会話しているお客さんをやんわり静止していた点です。
今は施設側も客側も「奪われないために耐える」時期ですね。
[ 東京都 ]
平日 夜
人出 中
「冬の外気浴には足湯を」
もしも、と僕は思う。子どものころに下町情緒豊かな銭湯サウナに連れてこられていたならな。
でも憧憬はお風呂の湯気よりも儚い。浮かんでは消える、いくつもの「もしも」。
「もしも」の中に2020年がある。
でも、それは2019年だってそうだ。もっというなら「昨日」も「明日」にも「もしも」を抱いてしまうのが僕らだ。
もしも、「もしも」を抱かずに生きていけたなら?なんて禅問答にすぎるだろうか。
そんなことを長考するには冬の外気浴は向いていないかもしれない。
そんなときは桶にお湯を張って即席の足湯にするといい。
開けられなかった「もしも」の封をなぞりながら、僕はぬるくなった足湯の桶を元の場所に戻した。
[ 東京都 ]
平日夜 人出 中
「ロウリュ!グルシン!」
コロナ禍においてアウフグースサービスを提供し続けてくれている。
それだけで、もう感謝しかない。
やけど一歩手前の熱波を受けたら
急いでグルシンのシルキー水風呂へ。
体中のネジというネジが緩み、ほどけていく。
泡の一つとなり、泡の上に乗り、泡に包まれて
流れていく。
団体客とバッティングしなければ間違いなく都内屈指のポテンシャルのサウナです。
[ 東京都 ]
平日 夜
人出 中
「塩は汗がとかすまで、もみ込むな!」
ここの特筆すべき点は「塩サウナ」です。
スチームで向かいの席の人の顔すら認識できなくなるほどのサウナ室に入るたびに
思わず微笑んでしまいます。
塩は全身にふりかけて、汗が塩をとかすまでは不可侵です。
汗の水玉と塩がとけあったところで初めて、全身をマッサージするようにもみこんでいきます。
すると、つるつるに!
温泉、炭酸泉、サウナ、水風呂、どれをとっても都内屈指のレベルです。
毎日行きたい…と切に思います。
[ 東京都 ]
週末夕方
人出 少
「冷凍保存された2020年をときほぐそう」
2021年が始まった。
なんだか実感がないまま、外気浴の冬風に身を委ねていた。
星野リゾートとのコラボでいっときは盛況だったニュー大塚も、今は常連客のみの風景に戻った。
ある意味でそれは2019年に戻ったともいえる。
けれど、サウナ利用の付属小タオルは2枚に増えたままだ。
これは2020年の風景だ。
外気浴の椅子の増設も2020年の風景。
けれど、なんだか僕は2020年という年を「本当に生きたのか?」と問われると答えに悩んでしまう。それは「生きた」というよりも「やりすごした」に近い。巨大な台風がやってきて、家の窓を閉めて暗がりの中で行き過ぎるのを待つように。
2020年はそうやって冷凍保存されてしまったようにすら思う。
ニュー大塚のサウナ室に入ると
みんなが漫画や新聞を読んでいる。
これは奪われなかった風景だ。
2020年よりももっと前から続く、あたたかな景色のひとつだ。
そうやってぬくもりを手放さないようにして、冷凍保存された思いをときほぐしていこう。
きっと、それが2021年の風景なのかもしれない。
[ 神奈川県 ]
平日 人出 中ぐらい
「銭湯サウナの極限のひとつ」
シルキーバス、炭酸泉、ジェットバス、そしてしっかりとしたサウナと水風呂。
羅列するだけで、ちょっとしたスパ施設並みだ。
一つ一つのサイズ感が、こぢんまりとしていることで
そうか、ここは銭湯だったんだと気づかせてくれる。
脱衣所も広く、ドライヤーは3分20円。
持ち込みのドライヤー用にコンセントも3分20円で開放されている。
もしも、家の近くにあったならば
まぎれもなく毎日通ってしまう
ある意味で、恐ろしい銭湯サウナだ。
ふだん通らない沿線は
子どものころ、ふもとから眺めていた裏山にどこか似ている。
あのころは入れなかった裏山に
「もしかしたら、こんな景色があったかもしれない」なんて思いながら
布団に入る。
まるで冬眠中の動物のようにたしかなぬくもりを携えた銭湯サウナがある。
そっと雪をかき分けて、僕らはそういったぬくもりを一つ一つ見つけていくのだ。
あなたの裏山はどんな景色だろうか?
[ 東京都 ]
金曜16時ごろ
人出 少
「もっとロウリュを!」
2階で受付、男性サウナは3階。
エレベーター移動のみ。
アメニティーセットは追加料金で使用可能。
ロッカーは狭め。
コートをかけておくハンガーラックが別途あり。
浴室に入ると、なるほど、こういうのもありだな、と素直に感じる。
とにかく無駄がない。
簡素な工事だが、それを逆に洒脱に見せるセンス。
水風呂がないというのも残念ではあるけれど
無駄を省くという観点ならば理にかなっている。
けれど、サウナ室は圧倒的にすばらしい。
程よい暗闇。ゆるやかなBGM。砂時計のみ。
そして、セルフロウリュ。
ラクーアでもロウリュできるが、お値段がはるので
おいそれと行きづらい。
都内で1000円(1h)でロウリュできる!
それだけで行かないという選択肢は消える。
先客に一声かけて、ロウリュをする。
ストーンが水を食べる音が聞こえる。
さらにもう1杯。
2人で来ていた若者たちが
お互いを仰ぎあって「やべえ、すげえ、これ」と笑顔になっていた。
思わず、こちらまで笑顔に。
熱波師が見ている景色をティースプーン1杯分だけど感じられた気がした。
「もっと光を!」と今際の際に叫んだのはゲーテだ。
彼にならって、ロウリュという光が広がってほしい。
もっとロウリュを!
[ 東京都 ]
木曜深夜1時
人出、中ぐらい
「世界は君たちのものだ」
二十代前半ぐらいの男の子が2人。
音楽をしているのだろうか、次の曲はどんな歌い方にするべきかと話し合っている。
君の音楽で世界を変えてくれるといいな。
あるいはささやかな恋の話をしている。
翌日に指輪を買うみたいだ。
自分が彼らよりまだまだ青臭かったころをなんだか思い出した。
あのころ、世界は僕たちのものだった。誰がなんといおうと、紛れもなく。
深夜1時なんて、まだ今日が始まってすらいなかった。
今日の封を開けてもいない時間だった。
世界は君たちのものだ。
何度だって言ってやる。
世界は…
汗が目に入り、僕はサウナ室の中で見えない空を見上げた。
[ 千葉県 ]
とても盛況です。
人々の楽しそうな声を聞きながら
外気浴中に夜空を見上げていると
2020年という年が
とある出来事一色に塗られてしまったことを嘘ではないかとすら感じる。
しかし、夜空を見上げてばかりはいられないのが僕らなわけで。
でも、夜空を見上げるだけの時間を与えてくれる場所があるということの幸せを噛み締めるぐらいは誰にも咎められませんよね。
[ 東京都 ]
日曜22時ごろ
人出:中ぐらい
「漫画を読みながら、サウナに入るのだ!」
ここのサウナは、なぜか、とにかく汗が出せます。遠赤外線効果でしょうか。
漫画を読みながら(店的にはNGだけど、ほぼ全員が読んでいます)、サウナに蒸されるという経験は
ほかではあまりできませんよね。
[ 東京都 ]
平日19時 人出少なめ
水風呂の給水口に氷を詰め込むべし!
大きなアイスボックスには氷が宝の山のように眠っていますので
迷うことなく水風呂に投げ込みましょう。
個人的には水風呂の給水口に氷を詰め込むスタイル。見た目にきれいですし、新たに注がれる水がキンキンになっているのもクールです。
漫画もわりとたくさんあるので
サウナ後、一息つきながら「ブルージャイアント」を読むと、なんだか、ほっこりできます。
[ 東京都 ]
浴場から東京湾のネオンを望む。
ふだんは下町サウナの猫の額のような外気浴スペースで、紫色の空を眺めている自分からすると、思わず、なんだか襟を正しくたくすらなる。
東京湾付近のネオンは「the東京」というニュアンスすら感じる。
けれど、ネオンの中で汗や涙を流しながら、歯を食いしばっている自分が見える気がした。
中島みゆきさんが「闘う君の歌を闘わない奴らが笑うだろう」と歌ってくれていた。
東京湾を望む浴場の中、僕は思わず、何かをつぶやいた。
ファイト!
[ 東京都 ]
「今日も電車に揺られ車窓に映る顔は
そうほんのちょっとくたびれているけれど」
電車に揺られているときにMr.Childrenのそんな一節を思い出した。
決して売れ線の曲ではない、B面の曲だ。
幸か不幸か桜井和寿という巨大な才能をもってしても「B面」があるのだ。
でも、と僕は思う、いっちょまえに。でも、すべてがA面というわけにはいかないのだ。光と影とまではいわないけれど、優劣ですらなく、ある種の支え合いのようなものなのだ、それらは。
あるいはカプセルイン大塚はサウナ界ではB面かもしれない。
ゆラックス、かるまる、ラクーア、レスタ、しきじ、庭の湯、さやの湯処、スパアルプスを
もしもA面というのなら、きっとそうだろう。
でも、車窓に映る男はB面の曲を思い出して、ほんの少しだけど、でもたしかに笑顔になったような気がする。
[ 東京都 ]
外気浴もできて、サウナもばっちり汗をかかせてくれて、しかも、漫画を読める。
そんなサウナ、なかなかお目にかかれませんよね。
キャッシュレス決済もできて、こんなに下町サウナなのに?とよい驚きも。
日常づかいのサウナって、もしかしたら、こういう下町サウナのほうが
より親身な気持ちになれるのかもしれません。
女性と同じく、24時間際に安くなるのなら、毎日でもいけるんですけど
贅沢な悩みですね、これは。
今日もサウナにあたためてもらえる世界でよかった!
[ 東京都 ]
ふだん使用している沿線で途中下車する。
見慣れない景色、聴き慣れない街の音。楽しげな自分の足音。
そんな贅沢も都内だからだろう。
ふらりと降りた場所に、なんらかのサウナがある。
「サウナに行く」という理由で、ふだんは重い腰も上がるから不思議だ。
RAKU SPA 1010は限られたスペースを最大限フル活用している。
サウナ室は広くはないが、しっかりと蒸してくれる。
タオルを持参すれば、かなり安く入れるのもうれしい。
休憩スペースは瀟酒に飾られており、ゆったりとした時間を過ごせる。
出発と到着しかしなかったはずの通勤電車も
途中下車した場所の景色を胸に抱ければ
日々のちょっとしたアクセントになってくれる。
そういった見落していることすら忘れてしまっていた風景を
大切に集めていければなと思う。
[ 東京都 ]
宿泊者専用ということで
決して、キャッチーなサウナではないかもしれません。
また、水風呂がないため、いくらか物足りなくもなるのですが
テレビも時計もない薄暗いサウナは
たしかなトンネルとして、そこに存在してくれています。
仕事の関係で、宿泊することになったら、きっととても素敵な気持ちになれると思います。
なにより、部屋がとても瀟洒で、こういうビジネスホテル が
もっと増えればいいのにななんて思ったり。
[ 東京都 ]
「街はイルミネーション 君はイリュージョン」という歌声をふと思い出した。
歌詞はうろ覚えだけれど、触れられるようなやわらかい歌声はしっかりと覚えている。
サウナ室を出て、アイスボックスの中に入っている山盛りの氷を水風呂へと投げ込んでいく。
「ひかり ひかり 僕を置いてくなよ」と彼は歌う。
水風呂に沈み、天井を眺めながら
「僕も」と僕は思う。「僕も置いていかないでくれよ」
水圧の弱い給水機から吹き出る水が描く小さなアーチは
僕が通り抜けるには、きっとあまりにも小さすぎるんだろう。
サウナのサブスク、始まったら登録したいなと思いながら
エレベーターで地上に戻った。