ウェルビー福岡
カプセルホテル - 福岡県 福岡市
カプセルホテル - 福岡県 福岡市
平日:深夜 人出:無
「壺に落ちる水滴だけが返事をしてくれていた」
日帰り入浴が夜に締め切られ、あとは宿泊者のみの利用となる。
きっと本来はもっと賑わっているんだろうウェルビー福岡。
僕らは深夜のウェルビー福岡をほぼ貸し切りで利用させてもらうこととなった。
脱衣所で館内着を脱ぐ。
体を清め、3つのサウナを巡る。
高温サウナ、セルフロウリュサウナ、からふろ。
グルシンの水風呂からのサウナ内の水風呂に浮かぼうとするが、すぐに沈んでしまう。
サウナに入り、目をつぶる。
ストーンの焼ける音。自分の鼓動。
何かが剥がれ落ちる音が聞こえた気がした。
サウナ室内を見回す。もちろん、何も落ちてはいない。
水風呂に入り、休憩していると、また何かが剥がれ落ちる音が聞こえる。
「服は」と僕は思う。「さっき脱いだじゃないか。なのに、何が剥がれ落ちるっていうんだ?」
からふろでほうじ茶をロウリュし、目をつぶり、寝転ぶ。
水滴が壺に落ちる音の遠くで、何かが剥がれ落ちる音が耳に届く。
裸で畳に寝転び、蒸気を全身に浴びる。
竹原ピストル君の歌声を思い出した。
「確かにぼくはここにいるけれど」とピストル君は歌う。「確かなぼくはどこにいるんだろ」
蒸気が目の端に溜まり、水滴が頬を伝っていった。
「もしも、この水滴をロウリュにしたら」と僕は言う。「誰かをあたためることができるだろうか?」
壺に落ちる水滴だけが返事をしてくれていた。
水風呂に入り、浮かぶ。
沈むことなく、なぜだか、ずっと浮かんでいられた。
剥がれ落ちる音はもう聞こえない。
「確かなぼくは」と僕は口ずさむ。
歩いた距離 3.1km
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