奥のサ(isanow)

2021.08.12

1回目の訪問

平日:夕 人出:中
「咲いて、枯れて、バトンをつなぐ」

今年の夏を始めたかった。
それにはきっと、らかんの湯はぴったりに思えた。

向かう電車(武雄温泉はICカード非対応なので注意されたし)から見える田園に無人駅、鳥栖商業の球児たちの焦げた肌、こっそりと手を握り合うジャージー姿の高校生たち。
遠くの入道雲が彼らを見守っていた。

入館するとチームラボが出迎えてくれる。
ホテルへの入り口であるとともに、非日常への入り口でもあった。

別の世界へと連れていってもらえるトンネルのような廊下を歩くと「湯」ののれんが見えてくる。

今治タオルが使い放題とは、なんと贅沢な。
サウナ室は「漆黒」と表現したほうがよいかもしれない。暗闇ではなく「漆黒」だ。
入室してから数秒、何も見えない。ほんの少し差し込む外光により、ストーブだけが見えるが、座席はほぼ見えない。
あるのに誰も気づかない3段目に気づいたのは何セット目だったか。
ドアの開閉による一瞬の光だけが存在を教えてくれる。

「黒」の中に身を置く。女性側が「白」の中だとするなら、男性側はやはり「闇」ではなく「黒」だろう。

外気浴中、熱いほうじ茶をすすりながら、御船山の森を見つめる。たくさんの音が僕を包んでいた。森を通り抜ける風の音。虫たちの愛のささやき。
そこには「生」があった。けれど、足元には「死」があった。彼らはそれを繰り返していく。
春がきたら、芽を伸ばし
夏で大きく成長し
秋に落ち葉で土壌を豊かにし
冬は眠りにつく。
咲いて、枯れて、バトンをつなぐ。

それだけだったし、それだけで十分だった。

電車の中の景色を思い出す。
無人駅、球児、高校生たちのつながれる手。
あのころの僕もいたかもしれない。
彼ら(僕ら)に伝えてあげたいことがあった。
でも、きっと余計なお世話だ。

かわりに明日の僕に伝えておこう。
「いつだって」と思う。伝わればいいな。「今日は最後の日なのだ」

奥のサ(isanow)さんの御船山楽園ホテル  らかんの湯のサ活写真
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