秋の宮温泉郷 湯けむりの宿 稲住温泉
ホテル・旅館 - 秋田県 湯沢市
ホテル・旅館 - 秋田県 湯沢市
巻の百五十九 非日常を味わい尽くす
「一雨一度」といわれる11月。
首すじを吹き抜ける風で冬を感じつつ
ひと足早く今年の労をねぎらうべく
秋ノ宮の外れにある温泉宿を訪れた。
共立リゾートのプレミアムグレードの湯宿。
スタッフのホスピタリティが高く
丁寧な”おもてなし”のなか館内説明を受た。
装飾品からラウンジにある備品まで
“愛でる”楽しさも味わえる。
長い廊下が部屋への期待感を高めてくれた。
荷物をおろすなり急ぎ足で大浴場へ向かう。
せっかく檜風呂付きの部屋を予約しておいて、
大浴場にあるサウナへ急ぐ客は私くらいだった。
おかげさまで1番風呂1番サウナをいただいた。
貸切露天風呂で予熱をすませ
湯けむりの宿 稲住温泉流儀で茹であげた。
サウナ:10分 × 3
水風呂:30秒 × 3
休憩:10分 × 3
合計:3セット
シワひとつなく隅々まで敷き詰められた
オレンジのサウナマットは
サラサラで出迎えてくれた。
誰の“ケガレ”も知らないマットは神々しく
“こんじき色”にさえ見まごう。
98℃まで昇りつめた無音の部屋で
宿泊できる喜びと自身へのねぎらいで3セット。
ハッと息をのむ…いや、息が詰まるほど
冷たい水風呂はおおきな檜風呂で掛け流し。
遠慮なしに浸かり、あふれさせ、冷やされた。
完全にわたしだけの世界であり
当然にわたしだけの特権であり
存分にこの瞬間を楽しんだ。
露天への扉を開け入り
ヒンヤリとした自然の空気を全身に浴びた。
湯けむりと山からの霧がまざりあい
幻想的な世界をつくり出す。
日が落ちかけ暗がりを増す山々を背景に
ライトアップされた黄葉が浮かびあがる。
徐々に遠近感がくるいだし
平衡感覚もおぼろげでユラユラと。
「宿泊者の恍惚と多幸感ふたつ我にあり」
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