マン蔵@サウナ

2020.01.09

1回目の訪問

バイブラの悲鳴と落ちかけの天井。

——「ロッカーは2階です」。

オーナーらしき強面の受付に案内されるままに、古びたカーペットの階段を上る。
踊り場のあたりまでくると「ウォンウォン、ゴシュー、ボコボコ」という音が遠くから聞こえてきた。
まるで宇宙船にでも迷い込んだような、少し不安な気持ち。

しかし薄暗い階段を一段飛ばしで上がると、ガラスブロックから燦々と陽が差し込む脱衣所があり、僕は安堵した。
ドレッサーに置かれたポマードとメンタームのクリーム、子どもの頃に通った床屋で見た古いUV殺菌ボックス。
ここは宇宙船なんかじゃなく、タイムマシーンだったのかもしれない、なんて言ったらベタすぎるけれど、ちょっとそんな気がした。

サウナ室は、ある意味期待通りのドライ系。
うなぎの寝床のような細い長い造りになっていて、ストーブは奥にあるから入り口付近は比較的マイルド。
そして木は朽ち果て、天井すら落ちかけている。その隙間から覗く暗闇をじっと見つめていると吸い込まれそうになるから、あまり上は見ないほうがいい……かも(※スピっているわけではない)。

水風呂はおそらく20℃くらい。というのも温度計はとうに壊れているらしく、0℃を指したまま。
空いていたのでカランの前に座り、ぼぅっと鏡の向こう側を見つめる。
それにしても、人の気配がない。平日の11時半だから、それも当然か。
(2セット目まで貸し切りだった)

浴室は小さく、お世辞にも綺麗とは言い難いけれど、
カランが10くらい(いや、そんななかったかもしれない)と、
浴槽、水風呂がひとつずつあって、最低限の役目は果たしている。

何より気になるのは、浴槽のバイブラだ。
凪いだ海の様なサウナ施設の中で、一本釣りしたカツオのごとき威勢の良さで暴れ狂っている。
階段の踊り場を過ぎてからずっと聞こえていた「ウォンウォン、ゴシュー、ボコボコ」という音は、
おそらくこのバイブラを発生させている機械の悲鳴なんだろう。

家のPCに向かってこれを書いているたった今も、その音が頭から離れない。
それと、目をつむれば思い出されるのは、天井のブラックホールと無音で流れていた3分クッキング。
強烈に記憶に刻まれた、という意味では、最近訪れたサウナの中では一二を争うレベルだったのは確かだ。

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