湯どころ みのり
温浴施設 - 岐阜県 羽島郡岐南町
温浴施設 - 岐阜県 羽島郡岐南町
〜連続 ハードボイルドサ活小説〜
探偵 根 刈男
〜前回からのあらすじ〜
事件が解決する兆しに興奮し駆け出す根だったが、女物の下着姿だった為、職質を受けてしまった。
とある法廷で、今、ひとりの男に判決が述べられようとしている。
「被告 根 刈男、被告を懲役6年と処す」
どこをどう間違えたのか、根は女物の下着姿でいたところを職質され、何だかわからないうちに懲役6年も喰らってしまった。
「6年か、長いものだな」
6年の懲役刑が確定した根は、G阜拘置所からN古屋刑務所の分類センターというところに送られていた。
ここでは28歳以下の受刑者の刑務所内での処遇を文字通り分類する為という名目で、筋トレ、筋トレ、また筋トレの毎日に加え、大声で号令を発し、軍隊のような動作を叩き込まれる5週間を過ごす。
拘置所で菓子ばかり食べて、食っちゃ寝して鈍った体に筋トレ筋トレで食欲も無いっていうのに、食事を残すことは絶対に許されない。
「誰だ、魚の頭と骨を残してる奴は!」
掃夫のO倉が怒鳴る!
そう、ここでは魚の骨も頭も全て食べないといけないのだ。
「誰なんだ!出てこないなら連帯責任で午後の筋トレはいつもの3倍の数をやるからな!」
こんな状況で名乗り出る奴なんていない。
午後の筋トレが地獄と変わった瞬間だった。
その筋トレも各々のペースでやればいいというものではない。
号令に合わせて決められたペースで大声を出しながらやらないと、これまた連帯責任で1からやり直しになるのだ。
声が小さいとすかさず「聞こえないね」とfantasistaの時のDragon Ashのkjのようにダメ出しされてしまうので筋トレだけでなく、大声を張り上げるのにも必死なのだ。
そんなこんなで地獄のような分類センターの1日が終わり、3分だけのシャワーを浴びてから、軍隊のように行進して舎房に帰る。
当然、舎房に帰ってからも自由なんてものは無く、扉には外から鍵がかけられ、窓には鉄格子がはめられている。
そんな分類センターでの根のささやかな楽しみは夕方の点呼の後から21時の就寝までの間だけ流れるラジオだった。
ラジオを聴きながら、独り言のように呟く。
「今日も本当に疲れたな、一体、俺はいつになったら出られるんだろう」
まだまだ長い懲役が始まったばかりの根ではあったが、刑務所の受刑者というのは残りの刑期など関係なく、いつだって「早く出たい」ということが頭にチラつくのだ。
そんな時、ラジオから今まで聴いたことのない、それでいて、今まで聴いたどんな音楽よりもカッコいい音楽が流れてきた。
続く
確かに出てきた。 てか、根刈男でググるのサ飯さんだけやわ。
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