源泉 那須山 令和の湯
温浴施設 - 栃木県 那須郡那須町
温浴施設 - 栃木県 那須郡那須町
日曜日 晴天 通常利用
館内滞在時間 11:30 〜 14:50
入泉時間 昼の部 11:35 〜 13:10
入泉プログラム
昼の部 S(15 × 3) M (1 × 3)G (5 × 3)
本日のビール 中ジョッキ3杯
本日のツマミ もつ煮
本日のメインディッシュ 〝お別れ〟
一時間に一本しかないバスに乗り込み、アカマツ林の一本道を抜けると満開の一本桜が出迎えてくれた。冬に逆戻りしたかのような肌寒さの中、那須塩原まで来たのは〝あの人〟の影を追っての事だった。
ホテルの部屋で何気なく皆さんのサ活を見ている中に、あの人が日帰り温泉施設でドアボーイをしているとの情報を見つけたのだ。そんな不確かな便りにすらも、藁にもすがる思いで新幹線に飛び乗っていた。
不安を抱えたまま施設の玄関先にたどり着くと、目を疑ったが本当に彼の姿があった。しかしドアボーイの仕事中の彼は、いっさい私と目を合わす事もなく冷たい素振りを見せる。まるで感情を持たない陶器の置き物のように振る舞っている様子を見て、これで全てが終わりだと知った。
そんな彼との思い出を那須の水に流して帰ると決め、フロントで入浴料を支払い大浴場へと向かった。掛け湯とカランで全てを洗い流し、総ヒノキ造りの内風呂に身を沈めた。涙がこぼれ落ちないように天井を仰ぐと、太い梁の組み合わせが、二人の浅かった人間関係と対比して悔しい。それでも木の温もりと天然温泉に包まれながら身体が温まると、屋外に佇むサウナの扉を開けた。
涙する私に気を使ったのか誰ひとり居ないサウナで、そっと目を閉じた。天然木の香りとピアノ演奏のBGMだけが室内に同居して、低温ドライな設定が全身を包み込んでくれる。発汗までに要する時間も、彼を忘れるためのシナリオなのかもしれないと堪えた。10分でようやく汗のつぼみが膨らむと、12分で肌の上に流線を描き始めた。
掛け水ですら水質の良さが伝わってくる水風呂に身を委ねると、冷たさと優しさが織りなす感動に身も心も震えた。露天に置かれたデッキチェアに座ると、那須山から吹き下ろす風が勢いよく肌を撫でる。周辺を取り囲む原生林のざわめきが、荒ぶる気持ちをかき消してくれるようだ。自然の全てが私の心に呼応するかのように癒してくれ、ここを訪れた事への後悔も打ち消してくれた。
サウナ上がりには彼が好きだったモツ煮を食べても、決して思い出して涙する事もなくレストランを後にした。帰り際も素っ気なくする彼に、明るく「元気でね」と声を掛けられた、まだ春の気配の遠い那須の昼下がりだった。
男
😂
噂のあの方は那須にいらしたんですね🤣
たぬたんシリーズvol.Ⅱ🥳は憧れの那須山❣️水風呂うらやましいです✨✨
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