東京染井温泉 SAKURA
温浴施設 - 東京都 豊島区
温浴施設 - 東京都 豊島区
ソメイヨシノ——。正確には「染井吉野」と表記するようで、「エドヒガン」と「シマザクラ」の交配で生まれた日本産の桜、とのこと。
まったくもって花に疎い自分は、それが桜の名前であると知ったのは、今回のサ活がきっかけ。それまでは漠然とただなんとなく「染井よし乃」とかいう日本の歴史に名を刻んだ女性裁縫家のイメージを抱いていた。
染井よし乃。決して裕福とはいえぬ家庭で育った彼女の唯一の楽しみは、祖母からプレゼントしてもらった裁縫セット。母がこしらえてくれた女の子の人形は、いつしかボロボロになっていたが、再度命を吹き込んでくれたのが、その裁縫セットだった。
「おばあちゃん、見て。しづゑ(人形の名前)のお洋服を私がお直ししたの。以前までは正常に作動していなかったが、システムファイルを修復することによってドライブ内のファイルに影響を及ぼさず、プログラムを回復することに成功した」
よし乃はおしゃまな女の子。しかし、その早熟な感性が裏目に出て、27年という短い生涯の幕を閉じた。そんなよし乃が生まれ育った巣鴨のあちこちには、彼女が遺してきた歴代の作品が展示されている。そのひとつの施設が「東京染井温泉Sakura」——という妄想を抱いて、いざ入館。
「染井吉野発祥の地に立地する癒しの天然温泉」と書いてある。目を疑った。「よし乃」じゃなく「吉野」だ。どっちも名字感!
受付のお姉さんに「ソメイヨシノって、人なんですか?」と尋ねたら、「当館は初めてでしょうか?(にっこり)」と、聞く耳持たぬリアクション。まあいい、浴場へ向かう。
1320円という高額物件だけあって、湯も広けりゃサ室も広い。しかもサ室は最上段で構えていると、オートロウリュの熱がケツの穴から指突っ込んで奥歯ガタガタ言わせてやろうかばりに効果てきめん。桜満開ならぬ、菊全開。
そして、空を眺めながらの外気浴。入館前にたいらげた「ニボ・アンド・スワローゼス」の脂をしっかり流して退浴、からの後会計。
入館とは違う女性スタッフさんだったので、改めてソメイヨシノについて問うたら、「桜の名称なんですよ。それと、江戸時代に巣鴨や駒込近辺は“染井村”と呼ばれていた名残もあって、当館は染井温泉SAKURA、という名称なんです(にっこり)」と教えてくれた。
なんて素敵に説明してくれる女性なんだ! 再訪不可避を胸に誓う。
よし乃「……裁縫だけにね!」
男
コメントすることができます
すでに会員の方はこちら