サウナセンター稲荷町(旧サウナホテルニュー大泉 稲荷町店)
カプセルホテル - 東京都 台東区
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「いっそのこと楽(味)になりたい」——母親はうなだれながら息子に述べた。その時、小学校5年生。父親が嫌いだった僕は、両親の離婚に異を唱えなかった。6つ年上の姉貴は言った。
「私はお父さん派だから、あんたはお母さん。経済的には厳しくなるだろうけど!」
小学5年生ともなれば、徳永英明よろしく「少年から大人に変わる」真っ只中、「あれも欲しい これも欲しい」とブルーハーツ的欲望も渦巻くお年頃。
「経済的に厳しくなるって、いま住んでる家に住めなくなるの?」
「当たり前でしょ。ここはお父さんの家なんだから。お母さんとあんたはお払い箱! 町のはずれの平屋にでも住むことね!」
決めた、父親にしよう。土壇場で「僕はお父さんと一緒に住む!」と言おう。それならきっと後々、スーパーファミコンやPCエンジン、ヘタしたらネオジオなんかも買えちゃう人生を送れるかもしれない!
そう誓った晩、母親は僕の部屋をノックし、「ごめんね、迷惑かけちゃって。でも、お母さんと一緒に来てくれるよね」と、強く強くハグをした。生まれて初めて、肉親に対する罪悪感がわいた。
「長女は父親、長男が母親」——そんな図式で進むであろう離婚劇を、長男である僕は脚本を改竄してしまった。強く抱きしめられるたびに、おしっこが漏れそうなくらいの罪悪感に駆られる。
俺「お母さん、いま月収いくら?」
母「ん? 将来が不安?」
俺「いや、なんとなく」
母「大丈夫、不自由はさせないから」
俺「そういう抽象的な返事いらないから、月収」
結果、月収も年収も聞き出せぬまま、眠れぬ夜を抱く。そして、胸に秘めた「僕はお父さんと一緒に住む!」という罪の意識が、ずっと胸をチクチクさせた。
「一緒に雑なロウリュを受けましょう!」そう言って、大泉にやってきたのは河口の拓ちゃん。20時のロウリュは、ほぼ満員御礼。ビート板で熱波を送る橋本さんも、いつも以上に力が入る。
拓「なかなかアツいっすね、Monさん!」
俺「いつも2扇ぎなのに、橋本さん、デフォで3扇ぎしてきやがる!」
拓「これじゃ乳首の生存も危ういっすね!」
ロウリュ終了。いつも以上にサ室内には熱気が残る。いつもならもうちょい残留できるはずなのに、無理だった。駆け足でサ室を出払う。
かけ水を忘れず、水風呂にIN。UAは雲がちぎれそうだったけど、僕は耳もちぎれそうだった。その時、思い出した。このチクチク感、乳首だからチクチクじゃなく、あの時、母親に抱いた罪悪感のチクチクに似ていると。
「Monさん、食堂で乾杯しましょう!」
拓ちゃんの屈託のない笑顔で、チクチクを駆逐させた。
男
「町の外れの平屋にでも〜」って絶対言ってないと思った。ってウナキー!どうした!?
お母さんをあの時以上に強く抱きしめてTONGHT!いや、波の数だけ抱きしめて…!!生きていて抱えきれない思いや、ふと思い出す後悔の念ありますよね。「強くなりたい。優しくなりたい」と斉藤和義の歌が過ぎります。
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