大豊湯
銭湯 - 北海道 札幌市
銭湯 - 北海道 札幌市
静かなサウナ室、人は一体何を思うのか。
「企画書、どうしよう」「晩メシ、何にしよう」「ビアンカとフローラ、どっちにしよう」など様々だろう。
もちろん答えのある「考え事」だけではなく、後悔や反省、不安がグルグルと頭を駆け巡ることもある。
大豊湯のサウナ室はテレビもラジオも有線もなく静かだ。そしてレンガ造りのため、なんとも言えぬ重厚感を纏っている。こんなシチュエーションでは否が応にも昨日の後悔が脳裏を駆け巡る。平日午後という時間帯のせいか、ほぼ室内にひとりぼっちだったことも災いした。
私は現在、配属先とは別の営業所に助っ人としてレンタル移籍中だ。若かりし頃なら「どうせ期限が来たらおさらばだしな!」などとほざいていただろうが、少しは大人になった今、これは人脈を広げるチャンスだと思ったりもしている。
レンタル移籍先には西尾さんという男性社員がいる。白髪が目立っており、私より10歳は上だろう。とにかく温厚で腰が低い。よくも悪くも「いい人」の代表みたいな人だ。
昨日、その西尾さんが私のそばに来て「あのぉ、お忙しそうなところ本当に申し訳ないんですがぁ、ちょっとパソコンの調子が悪くてですねぇ…」とやはり丁寧に話し始めた。声が小さくて聞き取りづらいのが玉に瑕ではある。
「わかりました」と西尾さんのデスクに向かうと、机上にタンブラーが鎮座していた。猛暑の続く毎日、水分補給は大事だ。さらにタンブラーをよくよく見てみると「B'z」のロゴが刻まれていた。
B'zか。確かに世代だろう。でも西尾さんにはB'zじゃない。チューリップかビリーバンバンだ。慇懃ウイスパーボイス白髪とB'zがどうしても結びつかない。私は見なかったことにしてモニタに目を向けた。
以上が昨日の後悔である。そう、人脈を広げる絶好のチャンスをあっさりと見送ったのだ。
B'zのロゴが目に入った瞬間、私が「♪あの娘は 太陽の Komachi!」と唄えば西尾さんは「エーンジェーール!」と続けてくれただろうし、「♪BLOWIN' BLOWIN' IN THE WIND!」と唄えば「Yes!」と言ってくれたはずだ。
そして西尾さんは「あのぉ、大変申し上げづらいんですけどもぉ、B'zの知識が90年代前半に偏ってらっしゃいますよねぇ」とボソボソと言ってくれたに違いないのだ。
明日からまた頑張ろう。西尾さんとも他の人とももっと仲良くなろう。ひとりぼっちのサウナ室、いやALONEなサウナ室で決意を新たにした。
90年代前半のB'z、いいですね。先日サ室で「LADY NAVIGATION」を聴いて思わずアルバムを買ってしまいました!
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