渋谷SAUNAS
温浴施設 - 東京都 渋谷区
温浴施設 - 東京都 渋谷区
この日、渋谷は強い風が吹いていた。まだまだ残暑が厳しいながらも、夏の終わりを知らせるような涼しい風が、渋谷の女性たちの髪をなびいていく。まさにサウナ日和である。汗を拭いつつ渋谷の坂を歩く。
渋谷SAUNAS。先にお伝えしておくと、ここは都会サウナの究極完全体だと豪語したい。これ以上の都会サウナはない、そう心の底から思わせる程素晴らしかった。
男女入れ替わりのサウナであり今回は「LAMPI」と呼ばれるサウナを堪能させてもらった。
サウナ室は4つ。先ずは2階の2ヶ所のサウナ。一つ目は「MUSTA SAUNA」と照明が暗く無音でセルフロウリュができる広めのサウナ室。闇に溶け、静かにロウリュの弾ける水音だけに集中できる。
二つ目は「BED SAUNA」。室温は少し低めの寝転ぶことができる3人用のオートロウリュ付きのサウナ室。サウナストーブがある足側が少し高めになっており、足の裏からじんわり熱を感じられ、油断すると本当に寝てしまう程心地が良い。
2階には寝湯タイプの「MATALA」と呼ばれる浅い水風呂があり素晴らしく冷えている。休憩スペースにはデトックスウォーターが置いてあり拙僧もなくグビグビ飲んで石椅子に腰掛ける。感動が身体を駆け抜ける。なんだこの施設は。オシャレで私を殺す気か。
しかし、更なる感動は3階のサウナ空間にあった。
3階の階段を登ると、今までは都会の壁に囲まれたモダンでシックな空間が一変、天井が吹き抜け、都会の空から降り注ぐ光と自然豊かな空間に飛び出した。
美しい。本当に口をついて出そうになった言葉を飲み込み、落ち着いて空間の全容を把握する。あぁ期待値が弾け飛びそうだ。
先ずは三つ目の「KELO SAUNA」の扉を開ける。後で知ったのだが本場フィンランド輸入ケロ材を使用したウィスキング専用部屋である。残念ながらウィスキングは体験できなかったが居心地が良いサウナだった。
そして四つ目の「SOUND SAUNA」は、今まで無音サウナこそ至高だの考えを、嬉しくも感動の中で打ち崩してくれた。この空間の為だけに作られたであろうサウンドが織りなす波のリピートは、容易に私をトランスの世界へ誘った。
最後の「SYVÄ」の深い水風呂にはトドメを刺された。全てが尊い、いや「てぇてぇ」と年甲斐もなく叫びたくなる。木々に囲まれた外気浴は、渋谷の空を輝かせ、同時に私を切なくさせた。ここで死んでも後悔はないとすら思った。
その時である。突如プシューーと屋外空間にミストが吹き込まれたのだ。大量のミストが充満し私の視界を白く、何もかもが見えなくなった。あの感動は一生忘れないだろう。なぜ私は渋谷に住んでいないんだ。
あの時、私は本当に泣いたのだ。
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