【閉店】山の湯
銭湯 - 東京都 豊島区
銭湯 - 東京都 豊島区
最初で最後のチャリ山の湯
「ちょっと元気になるとアホの虫が騒ぎ出すよね、あんた」
うん否めない。在宅仕事終わって早めの夕食二人で食べて、今から要町まで自転車漕ぐって、確かに馬鹿言ってる。でも、電車乗り継いで降りて歩いてよりチャリのほうが早いの。という訳で、笹目通りに環八環七超えて山手通りのちょい手前の区画整理も何もない感じ、育ちの町の砧を何となく思い出す。山の湯の入口前に何台かチャリ止まってたけど、中には片道9km以上自転車漕いで来てる人もきっと居る。居る筈。
入口の廃業告知や、お風呂道具を15日までに持って帰って下さいの張り紙に、否応ない現実。でも何よりも「65年毎日通ってたんだよ、うちに風呂あるけど。寂しいけど仕方ないよね」というお爺さんの一言が響く。来週から何処に行くんですか?なんて聞けない程に。65年。山の湯が開業してからずっと見守ってらっしゃった方に、そんな事聞けない。
浴室に入ると、ああ色々思い出した。一瞬女湯に入ったと錯覚するような淡いパステルピンクの壁タイルに、見事な水辺のタイル絵。中央のひょうたん型の浴槽も柄物タイルで彩られて、一層華やいてお洒落。真ん中の仕切の裸婦像のお顔側が40度程度の温めのお湯で、昔バイブラがあった方。お尻側が45度ぐらいのジェット付き浴槽。で、カランのシャワーが温めで、蛇口のお湯がアツ湯温度。この温度差、カランの基本が守られてる感が嬉しいんだ。勿論洗体後には、最後は何度もアツ湯を頭から被る。今日のバスフレンドはマスカットだったけど、アツ湯の方が香りが立ってる気がした。
スチームの扉を開くと、丁度フィーバータイム。ここにもタイル絵。十分に温まったタイルベンチ。一番奥に大きいけど、多分5分計な砂時計。2回ひっくり返して最後に床に立って数分よもぎやらなんやらの香りに包まれると、凄くそれだけで幸せ。サウナ出れば立ちシャワーも直ぐあるし。数回サウナと水シャワーを往復した後に、アツ湯のジェットで半身浴でじっくり脚を温めなおして最後に全身ドボン。これで足元もすっきり。
風呂上がりに牛乳頂きスポーツ紙を読みながらふと思う。
鉄ヲタの中の「葬式鉄」と呼ばれる方々。廃線鉄道の最後の営業日に押し掛けるからその俗称なんだけど、銭湯マニアにも似たような方々が居る。
自分の地元の友の湯の最終営業日も、その類が押し掛けてた。閉店間際に「10分だけ」と言って無理矢理入泉する奴、貴重な青ポカリ風呂桶を何とか貰おうと粘る奴、閉店後に住宅地の店前で談笑し続ける奴。自分が良ければ良い連中に、嫌気がさしたあの日を思い出してしまった。山の湯の15日が、ああいう連中に汚されませんように。
電車を乗り継ぐより自転車の方が大抵少し早いですよね、道さえ迷わなければ.…真夏・真冬は長距離辛いですけど。最近は現象さんの影響でテクテクも織り交ぜつつ。家風呂あるのに65年毎日通われた方のエピソードには一発KO負けです。来週からどうされるのか、お会いしたこともないのに気にかかって仕方ありません…!
㌧多すぎです…。脚が問題ない距離であれば、自転車の方が直線的に行ける分気軽で早いんですよね。そしてスマホの偉大さ。一昔前であれば目星で走って、近づいたら煙突と匂い頼りで探して、でした。お爺さん、お湯の温度なら大黒湯になるんでしょうけど、山の湯が唯一無二過ぎて…
マスカット、そういや自分も初めてのような。バスフレンドって果実系も多いと思いますが、柑橘系以外って案外記憶にないですね。山の湯、充分な時間が流れただけに最後に思い出話でも咲く時間であって欲しいものです。なので、自分は昨日がラスト。
それこそサライさんの書かれたさかえ湯の時のような、胸が温かくなる集いであって欲しい物です。あ、「葬式鉄」は蔑称でもあります。世の大半の鉄道ファンはそれこそ、思いやりと気遣いを持って楽しんでる方々ですので。
まきさん、ほんといつもながら頭が上がらないわ…葬式鉄。自分も気をつけなきゃって常々思います。ずっと愛し続けてきたご贔屓さまにそっとゆっくりお別れの時間を楽しんでいただきたいのです、イベントじゃなくて日常のためにある場所。
山の湯㌧ありがトン!面を上げい(違)…いえ、いつも頭があがらないのはこちらこそで。最終日は一つの日常の終わりですが、気をつけなきゃと思う方はお店にとって元々有難い方のはず。それに機会としては寂しいきっかけですが、素晴らしい銭湯に改めて触れるのは決して悪い事ではないですし。
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