麻布黒美水温泉竹の湯
銭湯 - 東京都 港区
銭湯 - 東京都 港区
六本木はイルミネーションに踊る。
本格的に冬が訪れ、様々な思惑と欲に愚か者は踊らされる。
真っ白なコートに身を包みポーズをとるモデル気取りと、何の目的で撮るのか錆びついた男。
通行人の白い目。
青く輝くけやき坂。
麻布十番を抜けて南麻布へ。
もはや光は無く、暗闇とすれ違う自転車のライト、自販機の存在感のみが頼り。
暗と光が混在する街。
孤独と見栄と静寂と喧騒。
竹の湯は黄色く輝く。
湯は黒く、なめらか。
サウナは90度。
力強さは無いがやさしくゆっくりと包み込まれる。
FMラヂオが降り、時に入れ墨に息を飲む。
ここのサウナは時間が止まる。
12分がスタンダード。
水風呂は13度。キンキンだが、湯船同様黒く、なめらか。
シルクに包まれ水は身体中を軽やかに滑る。
居心地のいい13度。
穏やかなサウナに対し攻めの13度水風呂。そのミスマッチに人は怯むが、水質は臆病者をあざ笑う。
欲に踊らされた愚か者は、またしても翻弄され、踊らされる。
欲の街の端の、無欲の街。
無欲の中に欲望は浮く。
僕は水風呂へと沈む。
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