里の森 森のゆ
温浴施設 - 北海道 北広島市
温浴施設 - 北海道 北広島市
私たちのささやかなラプンツェルはいつまで我慢しなければならないのか。
ここ数ヵ月の話ではない。何十年、何百年の話だ。
なぜ壁に囲まれた空間でしか顕にできないのか。
目的を持たない私たちのラプンツェルはとても愛らしい姿をしているというのに。
それが歯がゆい。
だから、私たちは森のゆに行くのだ。
ーーー
久しぶりの森のゆ。自然との境界がない露天風呂は圧巻だ。
ラプンツェルは言う。
「こんなに萌える緑を見たのは初めて!」
突然話しかけられて、私は驚いてラプンツェルを見る。
ラプンツェルは気にせずに続ける。
「あの音は何?」
落ち着きを取り戻した私はクールに答える。
「あれは近くを走る汽車の音だよ」
「あの花は何?」
「あれは池に浮かぶ蓮の花だよ」
「どうしてここのお湯は茶色くてぬるぬるするの?」
「モール系温泉と言って、古い植物のエキスが温泉に染み出ているんだ。ここはアルカリ性だからぬるぬるするし、お肌もすべすべになるんだよ」
今まで狭い空間に閉じ込められていたラプンツェルには何もかもが新鮮みたいだ。
サウナへとむかう。でも、まだ利用はできないようで、少し悲しくなってしまう。そんな私にラプンツェルは言う。
「でも、私、ここのシャワー好きよ。だって、とっても細くて、気持ちいいんだもの」
「水風呂も深くて冷たくて気持ちいいから大好き!」
ふふ。閉じ込められた生活をしていたのに前向きなんだな。なんだか自然と笑みがこぼれてしまう。
「それにドライヤーもとってもいいものに変わったのに無料で使えるみたい。お得ね」
ふいに見せるラプンツェルのめざとさに笑顔をひきしめる。
……ラプンツェル、かわいいふりしてこの子やるもんだね、と。
ーーー
お風呂からあがり、いつものようにハンモックへ。だが、撤去されている。
また落ち込む私にラプンツェルは言う。
「ハンモックがなければブランコがあるじゃない」
というわけで、今、私はテラスのブランコの上です。現場からこんにちは。
さて、みなさん。
心の中の(あるいは体のどこかの)ラプンツェルは元気ですか?
私のは元気です。
🌲🌲🌲
チャリ湯の楽しさを教えてくれてありがとうございます!
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