千成湯
銭湯 - 北海道 札幌市
銭湯 - 北海道 札幌市
オリビアは歌う。
≪Let's get into physical.Let me hear your body talk,body talk≫
(身体感覚に入っていきましょう。あなたの肉体の声を聞かせて、体で話をしましょう)
これは中年男性が千成湯で送る日常の記録である。
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まずは主浴で冷えた体を一気に温める。今日は晩白柚の湯。主浴のあつ湯に世界一大きい柑橘が3つ浮かんでいる。とてもいい匂いだ。体が起き始める。
すぐさま、ちんちんに冷えたバイブラ水風呂に入る。
ギュンッと全身が縮こまる。ここで軽い絶頂を迎える。が、無論これは始まりに過ぎない。
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熱々のサウナに入る。
古い木の匂いが鼻をくすぐる。晩白柚のような万人が好む匂いではないかもしれない。ただ、単純な「いい匂い」よりも、俺だけがわかるという愉悦を感じ、少しだけにやつく。
水風呂で冷やされた体に熱が入り込んでくる。穴という穴が無理やり拡張されていくのがわかる。熱は強引に体に入ってくる。
肌の感度がどんどんあがっていく。毛穴に熱がねじ込まれていくのがわかる。無理やりだ。でも、嫌じゃない。ぜんぜん嫌になれない。抵抗できない。ねじ込まれる。拡張されていく。
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大粒の汗がすぐにあふれ出す。サウナ室は男も濡らす。ひじの裏に浮かぶ太い血管が脈打ち始める。腕にびくびく動く青い筋が浮かんでくる。自分の意志とは関係なくビクンビクンしている。制御が効かない。少し恥ずかしい。もう出たほうがいいかな。
「だめ。我慢。もうちょっと我慢して。まだいっちゃダメ」
サウナはうるんだ瞳で言う。
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限界まで我慢し水風呂へ。
ちんちんの冷水が温め切った体をギュッと締めつける。暴力的に穴という穴が閉じさせられる。その勢いで心臓が高鳴る。耳の奥でどくどくと血の流れる音が聞こえる。体の表面がどくんどくんと抵抗し始める。
「痛いでしょ?つらいでしょ?でも、我慢してね。気持ちよくしてあげるから」
水風呂はいたずらっぽい笑顔で言う。
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脱衣所の扇風機の前で涼む。やわらかい空気の流れが縮こまる穴をじょじょに開けていく。風が肌を触れるか触れないかのところをやさしくなでる。ぞくぞくとした感触が全身を覆う。毛が逆立つ。唇が濡れる。フェザータッチが続く。そして、私の理性は失われる。
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休憩から戻って晩白柚の湯へと戻る。もう1度世界一大きい柑橘の匂いを嗅ぐ。脳天を貫くほどの恍惚。鋭敏になっているのは肌だけではない。これだから銭湯通いをやめられないのだ。
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私は銭湯でこのようなボディトークを1人でしている。あなたもお近くの銭湯に行ってみてはどうだろう?少しのやましさを抱えて。
あまりの濃厚なやらしさに混乱して何度も最初に戻って読み直しました
感脳小説…ですね♨️
素晴らしい表現!
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