ゆげたろう

2022.05.02

1回目の訪問

私が大阪に来て、1週間が経過したようだ。

飛び交う関西弁の声にも慣れ始め、エスカレーターも自発的に右に立つようになってきた。

自慰行為の話を切り口に関西人の友人もでき、私はこの暖かい大阪の街を改めて好きになった。

そして今日、私は新たな一歩を踏み出すことにした。

自宅から自転車を走らせれば3分足らずで到着する場所に、一際私を魅了するネオンが輝いていた。

その看板に刻まれた文字は「永和湯」、そして「めっちゃ好きやねん、お風呂」の文字。

引越をしたその日から、私は一瞬にしてこの銭湯の虜になった。

しかしその群青色の暖簾をくぐることは難儀であった。

ただでさえ土地勘のない大阪の地、ましてローカルコミュニティの最上級に君臨する銭湯である。
私が怖気付くのに無理はないだろう。

しかし、1週間の生活を経た今ならばいける。

「きっと受け入れてくれるだろう」

そんな淡い期待を胸に、私は重たい暖簾に手をかけた。

サウナ込で500円。

私は一瞬目を疑った。昨今の円安の影響だろうか。いや、円安ならばむしろ価格は上昇するはずだ。

半信半疑で500円を支払い、私は渡阪以来恋焦がれ続けてきたその浴室へと足を踏み入れた。

浴場内は半地下、1階、そして2階の三層構造。2階部分には露天スペースもある。
なんとも奇妙な空間の配置である。

そして2階部分にサウナはあった。

意を決して扉を開くと、熱波が勢いよく私の身体を叩いた。

心地よいがしかし容赦のない熱気。倒錯した表現であるがこれが適切な形容である。
温度計は100度以上を指しているが、湿度のおかげか不思議と心地よい。

おや?サウナマットに腰をかけた瞬間、私は今まで経験したことのない感覚を覚えた。

なんと分厚いサウナマットの下に座布団が仕込まれていたのである。さらに背中にはもたれ掛かれるようタオルが被せられている。

なんという心遣い。さすがは天下の台所大阪である。

「この先、貴方はどのような人材になりたいですか」

研修で頻繁に問われ、私の頭を悩ませ続けた問いだ。

今ならばこの問いに迷いなく答えることができる。

私は、サウナマットの下の座布団や背中部分のタオルの様な人材になりたい。

極上のサウナに癒され、1m以上ある深い水風呂と静かな外気浴で身を休める。

大阪、私はこの街のことをまだまだ何も知らない。
ただその最初の出会いの一つに永和湯があったこと、それは私にとって何にも代え難い幸運だろう...

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