天然温泉 りっかりっか湯(那覇セントラルホテル)
温浴施設 - 沖縄県 那覇市
温浴施設 - 沖縄県 那覇市
気の置けない友人との沖縄旅行もいよいよ最終局面、南国で流したすべての汗に別れを告げんと訪れたのがこちらの『りっかりっか湯』。
今回は突然の訪問決定ということもあり一切の前情報がないサウナであったが、そこは心配ご無用、”予期せぬ出会いにこそ良縁が宿る”というのがサウナー界の理である。
施設に入ってすぐに下駄箱と相対。037(サウナ)番が空いており不覚にも笑みを禁じ得ない。
幸先の良いスタートに胸を躍らせながら、足早に脱衣を済ませて浴場へと進む。
浴場の扉を開いた瞬間、私は昭和にタイムスリップしたかのような感覚に包まれた。
理路整然と立ち並ぶ数多の浴槽、どこまでも続くかのような一直線のカラン、そして隅には3つのサ室。
「何年もの間、今の私のように島人が身体を清めてきたのであろうか」、そんなことを思いながら古びたカランで自身の汗を流していく。普段は好まないリンスインシャンプーによる髪のごわつきも、今日はなんだか心地いい。
一通り身体を清め、いざドライサウナへ...
温度は90°Cほど、湿度は低くカラカラである。
お世辞にも広いとは言えない室内、現代のようなパンデミックがないかつての時代では、この空間で島人たちが家族のような会話を楽しんでいたのだろう。そんな哀愁に思いを馳せている間に10分が経過した。
サ室を出るとすぐに、深く冷たい水風呂が私を手招きする。
飾り気のないシンプルな水風呂。
「水とハコさえあれば他には何もいらない」、贅沢に溺れた現代人の私を戒めてくれているような気がした。
水風呂を出ると、私はすぐにそばのベンチに腰掛ける。
そっと目を閉じると、深い快楽に沈んでいくように感じられた。
しかし突然、私は目を開いた。
すぐに立ち上がると、浴場奥の方へと歩みを進めていった。
20歩ほど歩いただろうか、目の前にはたくさんのベンチが設置された露天スペースが広がっていた。私は無我夢中でベンチの一つに腰掛け、先ほどの深みのさらに奥へと自分を沈めていった。
あの時、私を突き動かした力はいったい何だったのだろうか。姿を隠した外気浴という麻薬へと私を誘ったものの正体は何だったのだろうか。
哲学者及び心理学者であるフロイトは、人間には自覚可能な”自我”の他に、隠れた欲望(知覚不可能な欲望とでも言えるだろうか)、”イド”が存在すると唱えたが、もしかしたらそれによる作用だったのかもしれない。
まさかサウナで人間について考えさせられるとは。
やはり沖縄のサウナは奥深い。未熟な私が成長を遂げた暁に、再度挑戦させていただくこととしよう...
いつも文章を読んでいると考えさせられます。これからも投稿楽しみにしてます!
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