沖縄かりゆしビーチリゾート・オーシャンスパ
温浴施設 - 沖縄県 国頭郡恩納村
温浴施設 - 沖縄県 国頭郡恩納村
宿泊先のホテルに併設されたサウナ、「森の湯」に足を踏み入れる。
この時私はホテルに付いてる簡易的なサウナだろうなぁとたかを括っていた。
宿泊者は¥1,000で24h入り放題。
そして券売機横で煌びやかに輝くブルーシールアイスはなんと¥100。財布を持っていなかったことを後悔したのは私と友人だけの秘密だ。
脱衣所の冷水機で水分を補充していざ入場。
浴槽は熱湯と冷水の二つあり、壁に鎮座した竜神の偶像の口から澄んだ水が注がれている。
水の滴りが奏でる美しいハーモニー、それが意味するものは南国の神々による歓迎の調律か、はたまた文明の嵐に飲み込まれつつある人間に対する神からの警鈴か。そんな雑念に包まれながらサ室へと進む。
サ室の温度は90℃。収容人数はおよそ10人か。特徴は何よりもその湿度だろう。カラカラとした暑さが容赦なく私の水分を奪ってゆく。
「所詮ホテル施設のサウナ」、私の当初の欺瞞は鮮やかに打ち砕かれた。
「俺もう出るわ」、友人の一人に向けて細々しい声を絞り出し、私は9分もしないうちにサ室を後にした。
待ち受けるは竜神によって注がれる2畳ほどの水風呂。水温は20℃ほど。
つかった瞬間、私の微小な脳を支配していた雑念が一瞬にして消え失せていったことを記憶している。
壁の竜神は我々を歓迎するサウナの神であった。
気さくな彼と1分ほどの対話を楽しみ、私は竜神に別れを告げた。
浴室の扉を開けて外へ出る。外に椅子の類は何一つ存在しない。外気浴スペースとしてはいまひとつというのが初見の感想だろう。
しかし今の私にとってそれは当てはまらないということは想像に難くないだろう。
無駄な物が何一つ存在しない広々とした空間のどこにでも、私は身体を預けることができたのだ。
異国の風に吹かれながら私はほんの一瞬、しまんちゅとなった自分を発見した。
しばらく身を休めた後浴室へと戻る。
浴場を出て脱衣所へ入ろうとした瞬間、「めんそーれ」と竜神の声が聞こえたような気がしてふと後ろを振り返る。
壁の竜神がなんだか少し微笑んでいるように見えた。
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