男
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都会のネオンが少しずつ輝きを増す頃、俺の足は自然とあの坂道へ向かっていた。今日の仕事の疲れ、人間関係のあれこれを一身に背負い、まるで巡礼者のように坂を上る。コンクリートの壁の上に見える「芦刈温泉」の赤い文字。あれは、俺のような"迷える子羊"を導く灯台なのだ。
番台のおばちゃんに460円で購入したチケットを渡し、「今夜も静かかい?」と尋ねると、「殿方は少ないよ、ごゆっくり」とニッコリ。その笑顔だけで、もうHPが20は回復した気分だ。昭和の空気で満たされた脱衣所の鉄製ロッカーに荷物を押し込み、いざ、聖地(サンクチュアリ)へ。
ケロリン桶で入念に身を清めたら、サウナ室の扉を引く。むわっとした熱気と共に、木の香りが鼻腔をくすぐる。温度計は94℃。ギンギンに熱いわけじゃない。だが、このじっくりと骨の髄まで熱を届けてくるようなセッティングが、今日の疲れた体にはたまらない。
テレビはあれど、音量は控えめ。先客の紳士たちも、目を閉じ、静かに己と向き合っている。そうだ、ここでは誰もが平等。役職も、今日の失敗も、ただの汗だくの男だ。流れ落ちる汗は、まるで心のデトックス。日々の憂さを、この芦刈温泉が”憂さ刈り”してくれているようだ。感無量、いや、汗無量である。
10分ほど蒸され、玉のような汗をシャワーで流したら、いよいよ水風呂へ。水温計は22.8℃を指している。サウナー諸君、侮るなかれ。この温度こそが、今の俺には最適解なのだ。
「水温22度?ぬるいんじゃないの?」なんて思うなかれ。心臓を鷲掴みにされるような衝撃はないが、その分、ゆっくりと体を沈めていける。するとどうだ。水質の良さも相まって、肌の周りに薄い膜が張られるような感覚…そう、「天使の羽衣」だ!バイブラがないからこそ、この羽衣は破れない。ここでじっくりクールダウンすれば、どんな悩みも水に流せるって寸法よ。
芦刈温泉の真骨頂は、この露天休憩スペースにある。火照った体を椅子に預け、夜空を見上げる。住宅街の静寂の中、そよそよと吹く風が、最高のデッキチェアの役割を果たす。
脳のネジが一本、また一本と緩んでいく。思考の霧が晴れ、頭の中がからっぽになっていく。ドクン、ドクンと力強く脈打つ鼓動だけが、自分が「生きている」ことを教えてくれる。ああ、これだ。俺はこの瞬間のために、今日一日を戦い抜いてきたんだ。
このルーティンを2セット。仕上げに温泉で体を温めれば、心も体もリセット完了だ。番台のおばちゃんに「最高だったよ」と告げると、「またおいで」と優しい声。坂道を下る足取りは、来た時とは比べ物にならないほど軽やかだった。


男
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94℃
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22.8℃
- 2018.01.02 22:23 ぐっさん
- 2018.11.07 22:53 みーちん٩( 'ω' )و
- 2018.11.25 17:46 みーちん٩( 'ω' )و
- 2018.12.02 20:27 みーちん٩( 'ω' )و
- 2018.12.09 21:21 みーちん٩( 'ω' )و
- 2018.12.24 17:56 みーちん٩( 'ω' )و
- 2018.12.29 11:39 みーちん٩( 'ω' )و
- 2019.01.20 19:02 みーちん٩( 'ω' )و
- 2019.01.31 00:31 みーちん٩( 'ω' )و
- 2019.02.21 23:39 みーちん٩( 'ω' )و
- 2019.06.28 23:40 あま美
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- 2019.10.20 18:19 みーちん٩( 'ω' )و
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- 2020.02.24 08:32 ダンシャウナー
- 2020.04.09 22:52 みーちん٩( 'ω' )و
- 2020.04.24 14:59 Cat Tom
- 2020.11.27 19:02 ふく
- 2023.05.22 11:45 UC
- 2024.02.09 08:52 ひびっしゅ
- 2024.06.15 09:39 Tata
- 2025.03.12 23:09 きのP
- 2025.03.12 23:21 きのP
- 2025.04.06 09:41 ひびっしゅ